移住者インタビュー

篠栗町 西川 かおりさん、西川 彩月さん

生まれ育った千葉県から、夫婦のルーツがある九州へ。
          移住を機に働き方が変わったことで、生活にゆとりが生まれ、家族の関係性もますますよくなりました。

移住者DATA

Iターン

篠栗町 西川 かおりさん、西川 彩月さん

Profile
西川 かおりさん(50歳)
西川 彩月さん(24歳)
Data
生まれ育った千葉県から一度も離れたことがなかったかおりさんは、2022年に家族で篠栗町へ移住。当初はかおりさん、夫、次女、長男の移住だったが、2024年に長女・彩月さんも福岡へ。かおりさんは長年勤める会社の業務をリモートワークに切り替え、正社員のまま勤務を続けている。彩月さんは福岡での就職に向けて準備中。家族5人で新しい環境での暮らしを満喫している。
Work

かおりさん:会社員

夫婦で相談していた「いつかは九州に移住を」。移住相談センターへの相談から1ヶ月で福岡移住が決定。

西川 かおりさん

Q.移住のきっかけを教えてください。

かおりさん:私も夫も千葉県船橋市出身ですが、私の両親は長崎県出身、夫の母は鹿児島県出身、夫は高校3年間を鹿児島県で過ごすなど、九州は家族にとってなじみのある場所でした。約30年前に千葉県から長崎県にUターンした私の両親の暮らしぶりを見て、「私たちもいつかは九州に住みたいね」と夫と話していたんです。私も夫も仕事がかなり忙しいうえに、船橋市は東京のベッドタウンなので混雑がひどく、そういったせわしない生活から解放されたいという気持ちもありました。

移住の時期は決めていなかったのですが、2022年に夫が急に「九州に行く」と言って、転職活動を始めたんです。東京の有楽町にある「ふくおかよかとこ移住相談センター」へ相談に行き、同じフロアのハローワークの地方就職支援コーナーで仕事を紹介してもらい…としているうちにとんとん拍子で事が運び、約1ヶ月で粕屋郡にある会社に就職が決まりました。そこから慌てて住むところを探し、移住が決まったという感じです。正直、最初はびっくりしましたが、年齢を考えるとこのタイミングを逃すと一生このままだろうと思ったのでいい機会だったのではないでしょうか。私と夫、当時13歳の次女、6歳の長男、さらに家は別ですが70代の夫の両親も一緒に篠栗町に移住することになりました。

彩月さん:私は東京の会社で働いていましたし、ひとり暮らしへの憧れもあり、千葉県に残ることにしました。実家が福岡になったので年に2回くらい帰省するうちに、ここでの生活がすごくいいなと思うようになって私も移住を考えるようになりました。毎日眺める風景に山や田んぼがあって、時間の流れが緩やかで、家族もなんだか穏やかな表情になっていて。来るたびに「ここに住みたい」という気持ちが膨らんでいきました。仕事の忙しさから体調を崩しがちだったこともあり、退職して2024年12月に家族から2年遅れて移住しました。

Q.九州の他県への移住は検討しましたか。

かおりさん:長崎県と鹿児島県に縁があるとはいえ、暮らすとなると仕事や生活を考えて“九州の東京”という印象の福岡県が一番いいと思っていました。夫の仕事の経歴を活かせる会社も多いですし、東京へのアクセスのよさ、街と自然のバランスのよさなどが決め手です。

Q.篠栗町を移住先に選んだ理由を教えてください。

かおりさん:夫の転職先が粕屋郡にある会社だったので、車通勤15分以内の場所で家を探しました。一緒に移住してきた夫の両親とも徒歩5分くらいの距離になるように不動産会社に探してもらったところ、現在のマンションと両親の家が見つかったので篠栗町に住むことになりました。

西川 彩月さん

Q.移住への不安はありませんでしたか?

かおりさん:準備をしている段階で特に不安要素はなかったです。私は千葉県以外の土地に住んだことがなく、遠くへ引っ越した経験がなかったからこそ、不安に感じることがなかったのかもしれません。前向きな気持ちですごくワクワクしていました。

彩月さん:私は家族が移住してから何度も福岡に来ていましたし、生活の様子を見て、ずっとうらやましいと思っていたので不安に感じることはありませんでした。やっと一緒に住むことができて嬉しかったです。

長年勤務する東京の会社を辞めることなく正社員のままリモートワークに転向。夫はフリーランスになり、夫婦で在宅ワークをしています。

Q.現在の仕事を教えてください。

かおりさん:東京にあるアパレル会社で企画・製造の仕事をしています。ファッションブランドから依頼を受けた製品を工場に発注し、納品することが主な業務内容です。専門学校卒業後からずっと勤めている会社だったので移住後も続けたいと思い、社長に相談したところ、正社員のままリモートワークすることを認めてもらえました。生地を手で触れて確認したり、検品したりといった仕事は難しくなりましたが、発注する工場は海外や地方にあるので電話やメールで業務を進めることができますし、リモート可能な業務を私に回してもらえるように会社の仲間も工夫してくれています。また毎月1度は東京の本社に出張し、業務を行っています。

夫は福岡で就職した会社でもかなり忙しく、休みがとりづらい状況だったため、フリーランスに転向して自宅で仕事をしています。金属・金物の設計士なのですが、福岡で働いていた会社からも、東京で働いていた会社からも仕事をいただけていて、忙しいながらも自分の裁量で仕事ができることに満足しているようです。

彩月さん:私は福岡に来て1ヶ月くらいなので、これから職業訓練を受けて、仕事に繋がる資格取得を目指したいと思っています。

篠栗町役場を利用する時に立ち寄る観光協会併設のカフェ「339Re(ささぐり)」。
篠栗町役場を利用する時に立ち寄る観光協会併設のカフェ「339Re(ささぐり)」。

Q.金銭面は以前と比べていかがですか。

かおりさん:千葉県に住んでいた頃と比べると、私も夫も収入は減りました。でも、環境がよく広くて家賃の安い家に住めることや、物価の安さを考えると、身の丈に合った生活をする分には問題ないと感じています。また、リモートワークになったことで外食も減り、節約に繋がっていると思います。

生活にゆとりが生まれ、家族で一緒に食卓を囲む毎日。
        休日は福岡県内や九州各地に出かけ、自然や温泉、九州の食を満喫しています。

Q.生活面の変化はありましたか?

かおりさん:仕事がリモートワークに変わったことで、生活にゆとりが生まれました。毎朝7時30分に出かけて往復2時間の満員電車に揺られ、20~21時頃に駅に着き、買い物をして食事の準備…という生活を送っていたことが、今考えると信じられないですね。今は朝もゆっくりできますし、仕事が終わったらすぐに自分の時間になるので、料理を作るのも楽しいです。時には忙しさの余りイライラが爆発して家族の雰囲気が悪くなることもあったのですが、心にも余裕ができて穏やかになりました。

また子どもと向き合う時間が持もてるようになったのもよかったことです。話をちゃんと聞いたり、宿題を見たり、以前はなかなか行けなかった学校行事にも参加できるようになりました。

夫も千葉時代は帰りが遅く、平日は家族バラバラで食事をしていたのですが、フリーランスになったことで、毎日家族全員で食卓を囲むようになりました。

福岡市西区「海づり公園」で釣りに挑戦!
福岡市西区「海づり公園」で釣りに挑戦!

Q.休日の過ごし方はどう変わりましたか?

かおりさん:私たち家族は自然に囲まれた環境が好きで、移住する前は休みのたびにキャンプに出かけるほど自然の癒しを欲していたんです。ところが移住後は、普段の暮らしで自然が近くにあるからか、わざわざキャンプに行くことは少なくなりました。ただ出かけることは好きなので、最近は福岡市の海づり公園や糸島市の森カフェに行ったり、佐賀県や熊本県、大分県などの温泉に行ったり、各地の直売所で買い物をしたりして楽しんでいます。篠栗町は近くに九州自動車道や福岡都市高速のインターチェンジがあり、福岡県内はもちろん、九州のあちこちに車で出かけやすくて便利です。長崎県の実家にも毎月のように家族で足を運んでいます。

彩月さん:街に出たい時も、最寄り駅から博多駅まで電車で20分くらいなので行きやすいですね。普段は静かな場所で暮らしながら、おしゃれな洋服屋さんやカフェに行きたいと思ったらすぐに行けるのがいいですね。

長男と一緒に移住してきた夫の両親。隣接する粕屋町「駕与丁公園」で入学記念に記念撮影。
長男と一緒に移住してきた夫の両親。隣接する粕屋町「駕与丁公園」で入学記念に記念撮影。

Q.子育て環境について教えてください。

かおりさん:移住前に学校の施設などを調べて子育て環境もよさそうだと思っていたのですが、実際に来てみると想像通り、子どもがのびのびと育つ環境が整っていると実感しています。特に小学生の長男は活発で、時には田んぼに落ちたりしながら(笑)学校生活を楽しんでいます。ふとした時に福岡弁が出たりして、福岡の子っぽくなっているなと思ったり。中学生の次女も友達と一緒に川に行くなど、千葉に住んでいた頃には考えられない行動をしていて、子どもの遊び方も場所によって変わることを感じています。町が混雑していないので、以前に比べて交通事故などの心配も少なくなったことも安心ですね。

Q.移住してよかったと実感するのはどんな点ですか?

かおりさん:食べ物が安くておいしいところです。スーパーに買い物に行くたびに価格の違いに驚いています。千葉県に住んでいた頃は、鶏肉が高くて海外産のものを選ぶことが多かったのですが、こちらでは国内産が安くておいしい。野菜はここ、お肉はここ、という風に篠栗町に行きつけのお店も増えていて楽しいです。出かけた時に行く直売所では、きっとどれもおいしいだろうと思って、色々なものをつい買ってしまいます。

彩月さん:食べ物もですが、水の違いも感じています。お風呂で髪を洗ったら、以前感じていたキシキシ感がなくてびっくりしました。

Q.暮らしの中で不便なことはありますか?

かおりさん:不便なことが本当に思いつかないんです。以前は、病院は2~3時間待ちが当たり前、何をするにも人が多い、道は渋滞ばかりと暮らしのストレスが多かったので、今は何をしても暮らしやすさしか感じません。車は必要だと思いますが、以前から運転していたので特に不便だと感じていないですね。家の近くで普段の買い物は十分にできますし、車で10分ほどの場所には大型ショッピングモールがあり、福岡市内にもアクセスしやすくて、いいところばかりです。福岡空港までは車で20分くらいなので、東京出張の時にもとても便利です。

彩月さん:不便というほどではないのですが、レストランやラーメンなど慣れ親しんだ味が時々恋しくなります。母は東京出張の時に楽しんでいるみたいです。

Q.想定外だったことはありますか?

かおりさん:不動産の価格が思った以上に高くて困っています。以前住んでいた一戸建てを売却して移住したので、こちらでも家を買いたいと思っていたのですが、この辺りは土地の価格も上がっていて予算が合わなくなってしまいました。でも篠栗町から離れたくないので、今もいい場所を探し続けています。これは移住の最大の反省点で、夫の転職が決まったからといって家族全員ですぐに移住せず、1年くらい時間をかけて住まいを検討しておけばよかったと思っています

自宅近くにある田んぼの中の一本道の風景が好きというかおりさん。
自宅近くにある田んぼの中の一本道の風景が好きというかおりさん。

Q.これから挑戦したいことはありますか?

かおりさん:家の近くに畑を借りて、野菜を育てる予定です。以前、義母がやっていたのが楽しそうだったので、長女の移住を機に一緒にレンタル農園を借りて土を耕してみようと思います。一年を通していろいろな野菜を育てて収穫するのが楽しみです。

自然に囲まれ、都会へのアクセスも抜群な篠栗町。
        人気の町なので、計画的に移住を検討するのがおすすめです。

Q.実際に住んでみて感じた福岡県、篠栗町の魅力を教えてください。

かおりさん:篠栗町は自然豊かな場所でありながら、都会へのアクセスもいいところが一番の魅力だと思います。仕事関係の人に「リモートで福岡から仕事をしているんです」と言うと、多くの人に「うわー、いいですね」とうらやましがられるので、“みんなが住みたい場所”という福岡県のブランド価値の高さはすごいですね。実際、その便利さを実感しながら暮らしていることを幸せに感じています。

彩月さん:自然と隣り合わせで暮らせることが魅力です。家族が篠栗町に住むようになってそう感じるようになり、ひとり暮らしの最後の半年は川が見える部屋に引っ越したほど自然が好きになりました。ちょっと嫌なことがあっても、遠くの若杉山の風景とかを見ているとすぐに忘れてしまいます。

Q.福岡県に移住を考えている人にメッセージをお願いします。

かおりさん:「移住は計画的に」ということを伝えたいです。私たち家族は短期間で移住した結果、唯一家のことで悩んでいるので、もっと時間をかけて計画を立てればよかったと思っています。福岡県は移住先として人気の県です。土地や住宅の価格も上がっていることを頭において、住む場所などを検討するとスムーズに移住できると思います。それ以外は、東京出張から帰ってくるたびに「本当に福岡に移住してよかった」と感じるほど満足しています。

彩月さん:私はまだ移住して1ヶ月くらいですが、とにかく家族と暮らす毎日が楽しいです。移住するなら自分の居心地のいい場所を選ぶことが一番ですよね。私は家族に会いに福岡県に来るたびにここが好きになっていったので、移住を検討している方は、実際にその土地に足を運んでみるといいのではないでしょうか。

※当インタビューは、2025年1月28日に行われたものです。

こちらのインタビュー記事もおすすめです

  • 那珂川市 ターン

    高岸 春幸さんインタビューページへ

    これから何か面白そうなことが始まろうとしている。そんな高揚感と期待が込み上げてきました。

    地域おこし協力隊 高岸 春幸さん

  • 鞍手町 ターン

    播野さんご夫妻インタビューページへ

    2か月間の移住体験を経て、鞍手町での生活を決意。自然を求めていたはずなのに、本当に必要としていたのは「人の温かさ」でした。

    地域推進活動 播野さんご夫妻

ページトップ
へ戻る

ふくおかよかとこ移住相談センター

福岡窓口

〒810-0001 福岡市中央区天神1-4-2
エルガーラオフィス12階(福岡県若者就職支援センター内)
TEL・FAX:092-712-2325
営業時間:10:00~18:00(平日) 10:00~17:00(土日祝日)
※年末年始は休業

東京窓口

〒100-0006 東京都千代田区有楽町2-10-1
東京交通会館8階(ふるさと回帰支援センター内)
TEL・FAX:03-6273-4048
営業時間:10:00~18:00
※月曜、祝日、盆、年末年始は休業

Copyright ©Fukuoka Prefecture All rights reserved.