移住者インタビュー

LIFE STYLE 豊前市

ひとり身になった時に考えた、これからの生き方。ずっと頭にあった地元への恩返しをするために移住を決めました。

移住者DATA

ターン

吉仲 英俊さん(60歳)

Profile
吉仲 英俊さん(60歳)※吉は土の下に口
Data

福岡県豊前市出身。大学進学を機に大阪へ。33年間勤めた旅行会社を早期退職し、2015年に出身地の豊前市にUターン。地域おこし協力隊員として着任し、豊前市観光協会の立ち上げに携わる。趣味はジョギング。

Work

豊前市観光協会 事務局長

自分の経験を活かし、地元に貢献できる仕事に巡り合い、Uターン。

Q.移住のきっかけを教えてください。

豊前市にUターンするか、このまま大阪で暮らすか、気持ちは半々くらいでした。ただ、自分が生まれたふるさとに何か恩返しができないか、両親が元気なうちに地域の習わしなどを頭に入れておきたいという思いがずっと頭にありましたね。妻を病気で亡くし、子どもが独立しひとり身になった後は、そういった思いもあり豊前に帰る頻度も増えていました。その度に高校や中学の友人たちが集まってくれ、その場で自分の思いを話していたら「帰ってくるなら早い方がいい」と、友人たちが背中を押してくれたのもきっかけになりました。Uターン後の生活の心配をしていたところ、タイミングよく友人が豊前市の観光協会立ち上げのための「地域おこし協力隊員」を募集していると教えてくれたので、経験をふるさとに活かせると思い、応募したところ、採用されたのでひと安心。前職を早期退職して帰って来ました。

Q.ご家族の反応はどうでしたか?

両親は言葉にはしませんが、きっと喜んでくれていると思います。90歳近い体では畑仕事や家事も大変だっただろうと、同居してから感じましたね。地域の壮年会に入って行事などの活動を手伝っていますが、この歳でも若手として期待されているようです(笑)。
息子は大阪に住んでいますが、幼い頃から一緒に帰省していたので豊前が好きなんでしょうね。Uターンに関して反対することはありませんでした。今は、孫たちと一緒に折々に帰省してくれています。孫たちも畑の野菜を収穫したり、木の実を拾ったりして、自然いっぱいのこの土地を楽しんでいるようです。

Q.移住に際して、利用した制度などはありますか?

移住関連の制度は利用していませんが、豊前市では空き家バンク、家賃補助などの住宅支援を行っているそうです。新婚さん向けの制度も整っていると聞きますね。

豊前市 移住・定住情報ページはこちら(外部リンク)

豊前市初の観光協会を立ち上げ、地元のいいところを発信中!

Q.現在の仕事について教えてください。

移住と同時に、豊前市の地域おこし協力隊員として着任し、豊前市の観光協会の立ち上げに携わりました。以前勤めていた旅行会社から地方自治体に出向し、インバウンドの仕事をしていたので、迎える側としてのノウハウはある程度持ってはいました。が、観光協会をゼロから作り上げるのは、私も他のメンバーもみんな初めてのこと。やはり大変苦労しました。どういう観光協会にするのかなどを、設立準備委員会の皆さんと考え、市へ提言することに始まり、事務所探しやパンフレットやSNSなど発信ツールを整えることなど、やるべき業務は山積みでしたね。でもゼロからのスタートだからこそ、何でもできたし、やりがいもありました。観光に携わっている地域の人たちとたくさん出会えたのも楽しかったですね。

 

そして、2017年11月、正式に豊前市観光協会が発足し、事務局長に就任しました。現在は、JR宇島駅の構内にある観光協会に勤務し、訪ねてくる方の案内をはじめ、豊前市の知名度を上げるべく、公式ホームページやFacebookなどで情報発信を行っています。時には福岡市などでPR活動をすることもあります。毎月650~700件くらいの相談やお尋ねがあるのですが、豊前市のいいところをさらに多くの方に知っていただきたいと思っています。

SNSなどで旬の情報を発信しています。イベントの告知などのほか、季節の花々などもアップしています。
JR宇島駅構内にある豊前市観光協会。観光案内のほか、PRを兼ねて地元の特産品も並べています。
自転車に乗って観光するのもおすすめ。「自転車だから見つけられるものや、五感で豊前市を体感できるのが良いですね」。
地域活性化のボランティア団体にも加わり活動しています。移住してから、地域の方と触れ合う機会も増えました。

田舎の不便さを楽しみながら、故郷の魅力に改めて気づく日々。

Q.久しぶりに帰って来た地元はいかがですか?

移住前に住んでいたのが大阪の中心部で買い物にも便利がよく、淀川の自然も感じられる場所でした。なので久しぶりに帰ってきたら、不便さを感じることは多いです。飲みに行ったらタクシーで帰らないといけなかったり…。長年都会で暮らしてきたので、その不便さを楽しんでいる部分もありますね(笑)。

でも、一度外に出たからこそ気づくふるさとの魅力もあります。仕事柄、あちこちに目配りしながら生活をしています。よそ者目線でみるからこそ、四季の花々、美しい海、のどかな風景、おいしい特産物など、これまでは気づいていなかった、豊前市のいいところをたくさん見つけました。

新鮮な魚介類・加工品を購入でき、漁協直営の食堂もある「うみてらす豊前」。
「うみてらす豊前」の目の前には穏やかな豊前海が広がります。

Q.移住前から変化したことを教えてください。

仕事の時間はぐっと減りました。以前の職場では働きづめで睡眠時間も少なかったので。ただ、自分の時間が増えたかというとそうでもないんです。家事や畑の仕事、草刈りをしたり、地域の行事に参加したり。でも体は以前よりずっと楽ですね。

また、地域の人の中に飛び込んでいったことも自分自身の変化だと思います。ずっと仕事漬けの生活だったので、大阪では地域との関わりがありませんでした。マンションの隣の人は知っているけれど、そのほかの人は…というような感じでしたね。こちらに戻って「ずっと離れていたから溶け込めるかな?」と思いましたが、いざ飛び込んでみると、昔からの顔なじみもいて、受け入れてもらえていると感じています。

ほかにも、豊前市のご当地グルメ「豊前オニメン」を広める活動にもボランティアで参加しています。豊前とうがらしを使ったピリッと辛い麺は、グルメイベントなどでも人気です。

道の駅「豊前おこしかけ」にある観光協会直営の観光案内所の前で。「豊前オニメン、食べてみてください」
今は地区の神社総代を仰せつかり、地域の神事で使う玉ぐしを作ることが出来るようになりました。大切な祭りの準備に、表情も引き締まります。
豊前オニメンの基本は、「鬼のお達し」5ヵ条※を守ること。そこにお店ごとの創意工夫が加わり、様々な豊前オニメンが生まれています。

※「鬼のお達し」5ヵ条
「麺を使った料理にしちょくれ」、「豊前とうがらしを使っちょくれ」、「肉を使うときは鶏肉を使っちょくれ」、「汁なしの油そば風にしちょくれ」、「出来るだけ赤くしあげちょくれ」

旧交を温め、地元の伝統を守る。その暮らしに充実感を覚えています。

Q. 休日はどのように過ごしていますか?

趣味のジョギングを楽しんでいます。市内はもとより隣の上毛町や築上町などその時の気分で約20kmを2時間くらいかけて走ります。北九州マラソンにも出場しましたよ。ダイエット目的で10年くらい前に始めたのですが、今ではすっかり日常の一部になり、走らないとストレスが溜まるようになりました。梅、レンゲ、桜、ポピー、ひまわりなど、季節の花の開花状況を確認し、観光情報ネタを探しながら走ったりもします。その後は、家の用事であっという間に一日が終わります(笑)。

Q. 移住してよかったと思うのはどんな時ですか?

昔からの友達と同じ時間を過ごすのが楽しいですね。学生時代に戻った気分になり、気持ちも若返ります。地元を離れている友人たちが帰省するたびに「お帰りなさい」の飲み会をしているのですが、いつも近況や学生時代の話で盛り上がるんです。最近では彼らから「帰省する楽しみが増えた」と言ってもらえることもあります。自分はUターンしてきた立場だから、地元を出た人、戻った人、両方の気持ちが分かるんですよね。今では、そういう友人に「帰っておいで。みんながいて楽しいやろ?」と誘う立場になっています。

 

また、今までに培った経験を通して地元に恩返ししたいからという思いがUターンの一つの理由でした。豊前市の約50か所で行われ、国指定重要無形民俗文化財になっている「豊前神楽」など地区の伝統文化を途絶えさせてはいけないと思っています。高齢化や独り住まいが増えている中で、これからどうやって守っていくかなど不安がいっぱい。地区の若手の人たちと、これからのことを話す機会も増えてきました。地区の行事やお宮の祭事などをお手伝いして、無事に開催できた時は安堵感と充実感があります。

Q. 移住を考えている人にメッセージをお願いします。

福岡県の中でも豊前市は特にのどかな場所です。田舎で暮らして、時々都会に行きたいと思っている人にとてもいい場所だと思いますよ。車に乗れば福岡ICまでは1時間ちょっと、北九州空港は約40分。福岡空港にも1時間30分ほどで行けます。お試し居住施設もありますので、ぜひ足を運んでみてください。

「ぶぜん暮らし体験の家「山内のいえ」お試し居住のご案内」はこちら(外部リンク)

※当インタビューは、2019年9月10日に行われたものです。

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