移住者インタビュー

LIFE STYLE 古賀市

第二の人生を見据えて、定年を待たずして退職。支援制度のおかげでキャリアを活かせる仕事に就くことができ、Uターン生活を満喫しています。

移住者DATA

ターン

中園雅貴さん

Profile
中園雅貴さん(58歳)
Work

コールセンター管理業務

福岡県飯塚市出身。福岡市内の大学を卒業後に上京し、車載機器を取り扱う会社に就職。営業職を経て、消費者相談室で長らく管理業務を担当する。2018年に早期退職し、キャリアを活かせる仕事を決めたうえで2020年にUターン。実家からほど近いマンションで、妻と2人で暮らす。

35年以上過ごした関東から飯塚市へUターン。リモート環境が身近になり、東京出身の妻も「友人との心の距離は感じない」と言います。

Q. 飯塚市にUターンするまでの経緯を教えてください。

もともと60歳で定年を迎えたら、両親の面倒を見るため飯塚に戻るつもりでいました。すると56歳の時に、勤めていた会社で早期退職の募集があったんです。今後の人生を考えて、ここで区切りをつけるか、定年まで残るのかを天秤にかけた結果、いいタイミングだと判断して退職することにしました。とはいえ、すぐにUターンすることはありませんでした。理由の一つは、東京にいる義理の父親の介護があったこと。そしてもう一つは、消費生活アドバイザーの資格を取得したかったからです。それまでは、カーナビゲーションやオーディオなどの車載機器メーカーで、お客様相談室の管理業務に従事していました。また、6年間、消費者対応を研究する外郭団体へも参画していましたので、いずれ資格を取得して、見識を広めたいと思っていたところでした。そこでまずは、7ヶ月間を勉強に充てることにしました。集中できる期間をしっかりと設けたおかげで無事合格し、資格を取得することができました。そうした中、義理の父親の他界が重なって、2019年の9月に飯塚に戻る決意を固めました。

Q. ご家族の反応はいかがでしたか?

両親はもうすぐ85歳になるのですが、2人とも入退院を繰り返していたので、とても喜んでくれました。今でも事あるごとに、「心強い」と感謝されています。それまで両親の入院手続きや見舞いなどは、福岡市内に住んでいる弟夫婦に任せっきりでした。入院のたびに、弟に仕事を休んでもらっていたので申し訳なくて…。弟はUターンすることを喜んでくれましたが、同時に、関東で生まれ育った私の妻が、福岡での生活に馴染めるだろうかと気にかけてくれました。私が転勤族だったこともあり、妻には関東各地に友人がいて、毎日のように通っていたスポーツジムにも知り合いがたくさんいました。それなのに遠く離れた九州に引っ越すことになり、しかも新型コロナウイルスの影響で、直接お別れを言う機会も設けられませんでした。正直、寂しい思いをさせてしまったなという気持ちはあります。ただ、「ニューノーマル」という言葉があるように、パソコンを使ったリモート環境がぐんと身近になりました。引っ越し後は、友人たちとリモート飲み会を楽しんでいるようですし、ヨガのリモートレッスンには私も一緒に参加しています。妻は「モニター越しで友人と話せるし、LINEでもやりとりできるので、心の距離は感じない」と言ってくれています。

Q. Uターンするにあたり大変だったことはありますか?

引っ越しを予定していた時期が、3月中旬〜4月上旬の繁忙期と重なったことです。業者に見積もりをとってもらったら、とんでもない金額になってしまって(笑)。また、予約も一杯の状態であったため、結果的に引っ越しの時期を、4月中旬にずらすことになってしまいました。就職先には初出勤日を調整していただき、本当に感謝しています。また、コロナ禍だったため、想定外の苦労もありました。当初、荷物がマンションに届くまでは実家に泊まるつもりでした。しかし、感染リスクがないとは言い切れず、マンションの近くにあるビジネスホテルに宿泊。その後も、しばらくは両親との接触を控え、訪問しても、お互いマスクをして庭先で会話をする状態でした。せっかく近所で生活できるようになったのに残念でしたが、こればかりは仕方のないことですね。

やりがいを求め、妥協せずに行った再就職活動。周りに支えられて、徐々に道が拓けていきました。

Q. 住宅情報はどのように収集しましたか?

インターネットを活用しつつ、帰省の際に地元の不動産会社に足を運んで情報を集めました。実家に住むという選択肢もありましたが、両親が2人だけで暮らしてきた居住空間に我々夫婦がいきなり入り込むと、生活リズムを壊しかねません。そこで両親と話し合って、いずれ同居するとしても、まずは私たちが実家の近くにマンションを借りて住むことにしました。まだ就職先が決まっておらず電車通勤になる可能性があったので、実家と駅の両方に近い物件を探すことに。去年の9月に不動産会社を訪ねたとき、今住んでいるマンションの情報を見つけました。目の前に駅があり、実家まで車で5分程で条件は完璧だったのですが、定職者でないと契約するのが難しくて…。最終的に、今年2月に今の会社の面談で帰省した際に、内定をいただいて、契約することが出来ました。たまたまこの部屋だけ空いていたのでラッキーでしたね。関東で駅前の物件となると家賃が跳ね上がりますが、駐車場代を含めてかなり抑えられました。

Q. 現在の仕事について教えてください。

今年の5月から、田川郡にある「SCSKサービスウェア株式会社」というBPOサービス※を提供する会社で、コールセンターのKPIを管理する業務を行なっています。KPIとは、重要業績評価指標と言われ、業務の目標達成に必要なプロセスを数値化した指標のことです。コールセンターの場合、顧客満足度や応対品質の向上にはこの指標の管理が重要です。私の役割は、センター内の各プロジェクトが抱える課題や運営状況をヒアリングして、設定したKPIをどのようにしたら維持、向上させて行けるかという事を考え、サポートを行うことです。以前の会社でも消費者対応部門での管理業務を担当していたため、そのノウハウを活かして、やりがいを感じながら仕事ができています。一緒に働くスタッフの方々の年齢は若いですが、自分も気持ちを若く持ちつつ、更に周りから刺激を受けながら、何歳になっても学ぶ姿勢を忘れずにいたいと思います。

※BPOサービス…BPOはビジネス・プロセス・アウトソーシングの略。コスト削減や効率化、高品質化などを実現させるために、業務プロセスの一部を受託するサービス。

Q. 仕事はどのようにして探しましたか?

転職のエージェント会社の方から、「ふくおかよかとこ移住相談センター」を紹介されました。ここでは、飯塚市へ移住するための基本的な生活情報を入手することができました。次に窓口の方から、隣のフロアに同床しているハローワーク品川(現在はハローワーク飯田橋)に、地方就職の支援に特化した「地方就職支援コーナー」※があるということを教えてもらいました。そこに何度か通ううちに、首都圏から地方への就職促進を行う「重点支援対象者制度」※を勧められました。制度を利用するには条件があるのですが、幸いなことにすべて満たしていたため支援をお願いしました。こうして紹介してもらったのが、今働いている会社です。たまたま東京に本社があり、筆記試験、適性試験、面接は都内で受けることができました。その結果、私のキャリアを活かせる業務を検討してくださることになり、現地の担当者の方と直接面談する手はずを整えていただきました。そして今の業務を提案していただき、入社の意思を伝えさせていただきました。

※地方就職支援コーナー…厚生労働省がハローワーク飯田橋(東京都)とハローワークプラザ難波(大阪市)に設置。IJUターンにより地方での就職を希望する人を支援するため、職業相談や紹介、生活関連情報の提供を行う。ふくおかよかとこ移住相談センター(東京窓口)がある、ふるさと回帰支援センターの一角にも設置されている。

※重点支援対象者制度…「地方就職支援コーナー」で行われている、首都圏から地方への就職を促進する事業。「専門的なスキルや、資格を持っている方、アピールポイントがある方」など3つの条件を満たすと、地方就職支援を行うハローワークと移住先のハローワークが連携し、対象者の就職先を開拓する。

Q. 利用してよかったと思う支援サービスはありますか?

やはり「重点支援対象者制度」の存在は大きいですね。年金を受給できる65歳までまだまだ時間があるので、やりがいを感じながら働きたいと考えていました。とはいえ、この年齢での再就職でキャリアを活かすのは、容易なことではありません。飯塚を拠点にして、福岡市か北九州市に通勤することも視野に入れていたのですが、「重点支援対象者制度」のおかげで、筑豊エリアで希望どおりの仕事に就くことができました。

また、九州電力の「IJUターン応援プラン」※もありがたいです。IJUターンなどで九州に移住した人は、電気料金が1年間お得になるんですよ。「ふくおかよかとこ移住相談センター」の窓口の方から教えてもらったのですが、利用しない手はないなと思って、引っ越しが決まってすぐに申し込みました(笑)。

※九州電力「IJUターン応援プラン」

ずっと思い描いてきた故郷での生活が実現。いつまでも若々しく、妻と楽しく暮らしたいです。

Q. Uターンしてからの飯塚市の印象を教えてください。

通っていた高校の外観がすっかりきれいになっていたり、平成の大合併で知らない名前の土地で増えたりしていて、時代の流れを感じています。一番驚いたのは、私が学生だった頃よりも、ずいぶん住みやすい街になったということです。電車を利用すれば、新飯塚駅から博多駅まで最短45分で行けるようになったし、国道201号に八木山バイパスができたことで、福岡市に行くのも楽になりました。今まで1~2年に1回くらいは帰省していたので、街の変化はある程度把握しているつもりでした。しかし、いざ腰を据えて生活してみると、やはり新たな発見はあるものですね。

遠賀川と穂波川をまたぐ「芳雄橋(よしおばし)」にて。河川敷は、菜の花やコスモスの名所として知られる。
ボタ山を背に、故郷の街並みを眺める中園さん。「ボタ山は木が生い茂り、すっかり普通の山みたいになりました」としみじみ。

Q. Uターンしてよかったと思うことを教えてください。

両親にいつでも会いに行けるようになったことです。例えば、先日、一緒にご飯を食べている時に、「エアコンのリモコンが壊れてしまった」と相談されました。今までも、困ってはいるものの、緊急ではないのでそのままにしていたことは、ほかにもあったと思うんですよね。そういった日常レベルの相談にも乗ることができるようになってよかったです。

個人的なことでいくと、朝の渋滞がほとんどなく、通勤のストレスがなくなりました。また、マンションの近くにスーパーやドラッグストアがあるので、必要な時に必要な物を買うことができています。関東にいた頃は、週末にまとめて買い物をしていたんですよ。生活スタイルが劇的に変化したというわけではありませんが、それでも心にゆとりができました。

Q. 福岡県の魅力を教えてください。

妻は、以前勤めていた会社で全国に出張していましたが、なかでも福岡が一番好きだったらしく、「人がとても温かかった」と言っています。また福岡には、ラーメンにうどん、焼き鳥に水炊き、それから魚介と、美味しいものがたくさんあります。甘めの味付けがよくて、関東にいた頃は、帰省する度に九州の醤油や味噌を買っていました。さらに筑豊には、ホルモン文化が根付いています。先日、専門店でホルモンを買ってモツ鍋を作ってみたのですが、関東のものよりもプリプリしていて感動!生まれ育った場所に回帰して、再び、地元の食文化に触れられるようになったので嬉しいです。

Q. これからこの街で、どんなふうに生活していきたいですか?

まずは、福岡県内のいろんな場所に出かけて、その土地の文化や歴史に触れたいですね。ハイキングができる福智山など、お隣の田川だけでも魅力的なスポットがたくさんあるんですよ。最近はうどんにハマっていて、週末になると妻と一緒に近所のお店を回っています。どこもすごく美味しいので、もっとお店を開拓していくつもりです。また、コロナが落ち着いたら福岡市内まで足を伸ばして、プロ野球観戦もしたいです。ホークスが大好きで、関東にいた頃もよくビジターゲームを観戦しに行っていたんですよ。あとはオートキャンプも好きなので、九州各地のキャンプ場にも繰り出してみたいです。関東にいた頃に、ずっと思い描いていたUターン生活を実現できています。「人生100年時代」といわれる今の現代、いつまでも若々しく、妻と一緒に楽しく過ごせたらいいですね。

Q. 福岡県に移住を考えている人にメッセージをお願いします。

福岡には魅力的なエリアがたくさんあります。住みやすい街が多いので、移住を考えている方にとてもおすすめです。移住の情報は、待っていても向こうからはやって来てくれません。インターネットを活用して時間や費用を節約しつつ、専門窓口に足を運んで相談してみはてはいかがでしょうか。私の場合、「ふくおかよかとこ移住相談センター」から「地方就職支援コーナー」へと繋がり、願ってもないチャンスを得ることができました。受け身ではなく、自分からアクションを起こすことが、理想の移住生活への第一歩だと思います。

※当インタビューは、2020年8月22日に行われたものです。

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