移住者インタビュー

みやま市 山城さん

都会で生きていくことに不安を感じ、みやま市の自然や人の温かさに触れてUターンを決意。空き家を減らして、街をもっと賑やかにしていきたい。

移住者DATA

Uターン

みやま市 山城さん

Profile
山城京子さん(44歳)
Data
みやま市(旧山門郡)出身。高校を卒業後、大阪で介護の仕事に就く。東日本大震災を機に、他者と助け合って生きることや地産地消の大切さを痛感し、2013年5月にUターン。2014年に、古民家の価値を評価する古民家鑑定士の資格を取得した。2015年からは、住まいに関するリテラシー教育機関として住育学校を開講し、住教育インストラクターとして啓発活動を行っている。
Work

古民家鑑定士、住教育インストラクター

たくさんの食材が育まれ、人の温かさに包まれている。この街でなら安心して生きていけると、直感しました。

Q.移住のきっかけを教えてください。

大阪に住んでいた頃は、便利で楽しくて、みやま市に戻ることは考えられませんでした。転機となったのは、2011年に発生した東日本大震災。マンションで一人暮らしをしていたのですが、隣の住人の顔も知らず、お金もたくさんあるわけではない状況で、もし被災したらどうやって生きていけばいいのだろうと不安になりました。
その後、休暇を利用して帰省した際に、市内にある清水山が思いがけず目に留まりました。今までお店でしか買えなかった食材が、身近な山や大地で採れている。そんな安心感を抱きながら山に登ってみると、出会う人みんなが挨拶をしてくれて、とても温かい気持ちになれました。そして展望台からみやま市を見渡した時に、“私はこの街に育ててもらったんだ”と強く実感。同時に、何かが降ってきたかのように、Uターンする決意が生まれました。

Q.Uターンするにあたり不安はありませんでしたか?

介護の仕事はどこに行っても需要があるため、仕事の心配はしていませんでした。しかし、急に田舎で暮らしていけるだろうかという不安はありました。そこで、引っ越すまでの1ヶ月間、お試しで実家に滞在してみることに。ハローワークに行ったり、インターネットで住む家を探したりと準備をしながら、街のことを知るためにマルシェなど地元のイベントに顔を出しました。すると、どのイベントにも活気があり、出店者の皆さんも元気いっぱいでした。街を盛り上げようとする方が、こんなにいるんだったら楽しいに違いないと思い、不安が解消されました。

山城さんがUターンを決意した清水山の展望台。晴れた日には筑後平野や有明海を眺望できる。
山城さんがUターンを決意した清水山の展望台。晴れた日には筑後平野や有明海を眺望できる。
清水山にある清水寺本坊庭園。山城さんは時々足を運び、季節ごとの風景を満喫しているそう。
清水山にある清水寺本坊庭園。山城さんは時々足を運び、季節ごとの風景を満喫しているそう。

地域の皆さんには、誰でも受け入れる寛容さがあるのですんなりと溶け込むことができました。

Q.日々の生活で楽しいと感じるのはどんな時ですか?

地域の皆さんと触れ合う時です。小学校で本を朗読するボランティアをしているのですが、みんな真剣に聞いてくれて、中には感動して泣きそうになる子もいます。子どもって、自分の感じたことを素直に表現するので、接していて気持ちいいんですよね。また、道ですれ違った時にご年配の方に話しかけると、どなたも朗らかなので心が和みます。地元を離れて暮らす期間が長く、知り合いがほとんどいませんでしたが、ここでは初めて会う人を受け入れる寛容さがあるので、すぐに地域に溶け込むことができました。

Q.生活している中で不便を感じることはありますか?

意外となくて、むしろ便利だと感じています。車は必要かもしれませんが、公共の交通機関がそろっていて、筑後船小屋駅から新幹線に乗れば博多まで30分とかかりません。みやま柳川インターチェンジや、山川バスストップなどの高速バス乗り場もあり、気軽に遠出することができます。

古民家の建築技術を学ぶために、率先して工事現場に足を運んでいる。
古民家の建築技術を学ぶために、率先して工事現場に足を運んでいる。

Q.休日の過ごし方を教えてください。

実は、まる一日休むことがほとんどないんですよ。知り合いが主催するイベントに顔を出したり、古民家の工事を手伝ったりと常に動き回っています。そのような日々の中で心を癒してくれるのは、仕事先に向かう途中で車窓から眺める景色。ひと月変われば見える景色も変わり、季節を実感できるんですよ。

社会人になった子どもたちが、将来みやま市に戻ってくる。そうすると空き家が減り、地域活性化につながるはず。

Q.現在のお仕事について教えてください。

介護の仕事をするかたわら、2014年に古民家鑑定士の資格を取得して、古民家再生事業にも携わっています。主な活動内容は、古民家の状態を調査して、文化的な価値を見出すこと。小屋裏に登ったり、カメラを搭載したロボットを床下に走らせたりして、家の状態を細かくチェックしています。また、みやま市と空き家・古民家に関する包括連携協定を締結して取り組んでいるため、「空き家」や「古民家」に関する相談にも対応しています。

また、2015年には恩師の勧めで、住まいに関する教育を行う住教育インストラクターの活動を始めました。住育学校の学校長として、住環境、木材、資金など、毎月異なるテーマを設けて講座を行っています。カタログで家を選べる時代に、住まいについてしっかり学び、自分の意思を尊重して家を決める。一人一人が家を大切に思うことで、空き家を減らすことができると信じています。

講演活動を通して、空き家問題の解決に取り組む山城さん。
講演活動を通して、空き家問題の解決に取り組む山城さん。
「レンタル古民家松尾邸」として活用している古民家の持ち主の方と談笑する山城さん。
「レンタル古民家松尾邸」として活用している古民家の持ち主の方と談笑する山城さん。

また、市内にある空き家をお預かりして、「レンタル古民家松尾邸」を営んでいます。希望者に1日500円で貸し出し、イベントやレッスンの場として活用していただいています。実は、古民家の持ち主の方は、いずれこの家を取り壊すしかないと考えていらっしゃいます。ここにたくさんの人が訪れて地域がもっと賑やかになることで、家を残すという選択肢が生まれたらいいなと願っています。

Q.今のお仕事をするきっかけを教えてください。

みやま市に戻って、久しぶりに小学校までの通学路を散歩していると、空き家が多いことに気づきました。昔は人が住んでいた民家が、雑草に覆われていたり、屋根が落ちかけたりしていて…。今の子どもたちは、この景色を見ながら通学しているのかと思うと、寂しい気持ちになりました。空き家を減らすために、私にできることはないだろうか。そう思いインターネットで調べていたら、古民家鑑定士のことを知りました。

小学校で、空き家に関するワークショップを行う様子。
小学校で、空き家に関するワークショップを行う様子。

Q.仕事における今後の目標を教えてください。

実家が空き家だけど荷物があるから、代々受け継いだものだから、という理由で、そのままにしている方がたくさんいます。所有者の空き家に対する意識を変えるために、これからも多くの人に家に興味をもってもらい、空き家について考えるきっかけを作っていきたいと思います。また、私が代表となり立ち上げた市のまちづくり補助事業「お仕事フェス」の運営もしっかりと行い、盛り上げていきたいです。 「お仕事フェス」を通して、子どもたちに、みやま市の仕事や働く大人の姿を紹介することで郷土愛を育み、進学や就職でみやま市を離れても、いずれ戻りたいと思ってもらえるようになるといいですね。

移住を決める際は、そこでの生活をイメージできるかどうかが重要。まずは気になる場所を訪れ、人や風土に触れてみてください。

Q.福岡県とみやま市の魅力を教えてください。

福岡県は、都会でありながらも、ほどよく田舎で街全体の雰囲気が穏やか。その中でもみやま市は、人がすごく優しくて、まさに親切心ハイスタンダード!困った時はこちらからお願いしなくても助けてもらえるし、採れたての野菜をいただくことは日常茶飯事です。食べ物も美味しくて、特に山川みかんは甘味と酸味のバランスが絶妙。県外の方に送ると、とても喜ばれるんですよ。

Q.これからこの街でどのように暮らしていきたいですか。

気候や自然を感じながらゆっくり過ごしたいところですが、今は地域のために頑張って動きたいです。そして将来、今の子どもたちがこの町に戻ってきたら、ゆっくり話をしたいですね。ご年配の方たちが私に温かく接してくれているように、その時は私も同じように接してあげたいです。

Q.福岡に移住を考えている人にメッセージをお願いします。

移住する際の不安のひとつに、仕事のことがあるかもしれません。みやま市には、魅力的な地元企業がたくさんあるし、農業が盛んなので就農という選択肢も考えられます。また、カフェを開業したいと思っている方には、旧山川南部小学校を活用したバイオマスセンター「ルフラン」という施設がおすすめです。ルフラン食品加工組合に加入すると、チャレンジの場としてカフェと食品加工室を低額で利用することができます。ここで経験を積んで、自分のお店を出す夢を叶えた方もいらっしゃるんですよ。

■バイオマスセンター「ルフラン」

https://www.city.miyama.lg.jp/li/kanko/080/

ほかにも不安があるかもしれませんが、気になる場所があったらまずは一度、足を運んでみることをおすすめします。移住を判断するポイントは、その地域で暮らしている自分をはっきりイメージできるかどうかだと思います。感性を研ぎ澄まして、地域の人や風土に触れる中でそのイメージが湧いたら、迷わず一歩踏み出す時です。

※当インタビューは、2024年12月10日に行われたものです。

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