Iターン
- Profile
- 嵩原 豪さん(37歳)、大海 亜里沙さん
- Work
-
カフェ経営
Q.朝倉市に移住したきっかけを教えてください。
嵩原さん:ひと足先に福岡市へ移住した大阪の友人から、「ご飯が美味しくて、温泉もあってすごく楽しいよ」と勧められ、2017年に福岡市中央区に引っ越しました。ある日、行きつけの飲食店のオーナーである西山さんという方から、「朝倉市の古民家をDIYしていろいろなお店を作っていきたい」という計画を聞きました。なんだか面白そうだなと思い、店舗が完成していく過程の撮影と、DIYのお手伝いをさせていただくことに。それから1年半くらいの間、毎週末のように朝倉市まで足を運びました。最初にオーナーを務める予定だった方が諸事情で辞退されてしまって…。「代わりに誰がする?」という話になり、気づけば自分がカフェのオーナーになっていました(笑)。2023年、カフェのオープンに伴い大海と一緒に朝倉市へ移住。定年を迎えたら田舎でゆっくりカフェをしたいと考えていましたが、30年も前倒しで実現しました。
Q.移住への不安はありませんでしたか?
嵩原さん:「地域に溶け込めなかったらどうしよう…」という不安がありました。実際は親切な方がたくさんいて、近所の方からはよく野菜をいただきます。また、道を歩いている時に誰かから挨拶をしてもらうと、「朝倉市の一員になったのだな」と嬉しくなります。今思えば、移住前に何度も通っていたことで、地域の方と顔見知りになれたのがよかったです。
大海さん:それまでずっと福岡市の街中で暮らしてきたため、田舎での生活は初めてでした。正直なところ、不便なのではないかと思っていましたが、住んでみると特に困ったことはありません。福岡市内に用事がある時も、車があれば1時間くらいでアクセスすることができます。
嵩原さん:主要道路には、大型の衣料品店やホームセンター、100円均一、飲食店など、たくさんのお店が集まっていて便利なんですよ。
Q.移住にあたって、利用した支援制度はありますか?
嵩原さん:小規模事業者持続化補助金のコロナ特別対応型を申請しました。小規模事業者等が、新型コロナウイルス感染症の影響から乗り越えるために設けられた補助金です。補助金が出たら、新しい店舗を作る資金に充てたいと考えています。また今後は、朝倉市が行っている、あさ暮らし移住・定住支援金を申請する予定です。
https://www.city.asakura.lg.jp/www/contents/1589440417989/index.html
Q.住み始めてからの朝倉市に対する印象を教えてください。
嵩原さん:お店のある荷原地区には、田んぼや夕日、ホタルなど、美しい景色が身近に広がっているので、自然に恵まれていることを実感します。天気のよい日に、テラスに座ってコーヒーを飲みながら眺めていると、「最高だな〜」としみじみ感じるんです。また朝倉市内には、「道の駅 原鶴 バサロ」のヒマワリ畑、ビール工場のコスモス畑、寺内ダムのサクラと、花の名所も点在しています。三連水車やレトロな雰囲気が漂う原鶴温泉など、観光スポットもたくさんあります。
大海さん:あとは、星空もすごくきれいです。これまでと違って、朝倉市に移住してからは、身の回りの自然を意識するようになりました。
Q.休日の過ごし方を教えてください。
大海さん:自分たちのお店の参考を兼ねて、周辺のカフェを巡っています。2人ともカフェが好きということもあり、インターネットで気になるお店を見つけたら、地図アプリに保存するようにしています。
嵩原さん:1日に3軒も回ることもあるんです。秋月やお隣のうきは市まで足を伸ばせば、知らないお店がたくさんあるので退屈しません。
Q.朝倉市に移住してから変化はありましたか?
大海さん:お酒が好きだったので、福岡市内に住んでいた頃は毎日のように飲みに出かけていました。でも、朝倉市に移住してからは、家の近くにお店がないので自然と出なくなりました。今ではすっかりこの生活に慣れて、もう1年くらいお酒を飲んでいません。
嵩原さん:移住して車を運転するようになったので、確かにお酒を飲まなくなりました。たまに飲みたくなった時は、友人を自宅に呼んでいます。移住したばかりの頃は、「都会からこっちに来て大丈夫なの?」と心配していた友人も、自然豊かな環境を見て「とてもいい所だね」と反応が変わりました。また、とても静かな環境なので、心が穏やかになり、気持ちにゆとりが生まれました。
Q.現在のお仕事について教えてください。
嵩原さん:大阪に住んでいた頃は介護士をしていて、デイサービスや老人ホームで働いていました。朝倉市に移住してからは、2人で「あさくら だ ふぁみりあ」内のカフェを営んでいます。飲食店は場所が大切だと聞くので、最初はお客さんが来てくれるか不安でした。今年オープンしたばかりなのでこれからですが、のどかな場所にぽつんとあるので、みなさん興味深そうに足を運んでくださいます。
大海さん:福岡市内では、レディースのアパレルに勤めていました。もともとお菓子作りが好きだったので、現在は、自分たちのお店でスイーツを担当しています。朝倉市には美味しいフルーツがたくさんあるので、桃を丸ごと使ったタルトなど、いろいろなスイーツを作ることができて楽しいです。
嵩原さん:道の駅や直売所に行くと、新鮮な果物や野菜がたくさん並んでいます。最近は、地元の農家の方と仲良くなってきたので、お店で使う食材を直接仕入れることもあります。また朝倉市では、九州では珍しくサトウキビが栽培されているんですよ。このサトウキビを使った「三奈木砂糖」は、じっくり時間をかける昔ながらの製法で作られていて、「日本一高い砂糖」と呼ばれています。プリンなど一部のメニューに使っていますが、お客さんから「え!日本一?」と興味をもってもらいやすいです。
Q.お店のある「あさくら だ ふぁみりあ」について教えてください。
嵩原さん:「あさくら だ ふぁみりあ」という名前は、建築家アントニ・ガウディの未完作品「サグラダ・ファミリア」に由来しています。ガウディの没後100周年にようやく完成するということで、「あさくら だ ふぁみりあ」も自分たちの手で作りながら100年後の完成を目指しています。現在できている店舗は、私たちが経営する「イナイバルコーヒー」と、前述した西山さんが経営する「お食事処 あさくら亭」の2軒。ほかに、私たちの活動を見ていた友人が「楽しそうだね」と始めた、軽トラの移動式サウナが予約のある時にやってきます。来年には、パンとスイーツを販売するお店をオープンさせる予定です。
Q.起業するにあたって、準備しておいてよかったことはありますか?
嵩原さん:お店の柱となるものが欲しいと思い、半年間、大阪にあるコーヒーの世界チャンピオンのお店で修行しました。もしこの経験がなかったら、自信をもって「コーヒーのお店です」と言えなかったと思います。また西山さんからは、飲食業の心得や衛生面の配慮など、お店づくりに関して細かく教えていただきました。
Q.地域で活動していることはありますか?
嵩原さん:「寺内ダムライトアップ」や、あまぎ水の文化村の「ウォーターフェスティバル」など地域のイベントに参加して、コーヒーやクレープを販売しています。自分たちで楽しんでやっていることが、自然と地域の活性化に繋がっていました。
Q.これから朝倉市でどのように暮らしていきたいですか。
大海さん:次のお店をオープンさせて、もっとたくさんの方に手作りのパンとスイーツを食べてもらいたいです。どんなお店にするかは考えている途中で、個人的にはピンクをベースにしたかわいい感じにしたいと思っているのですが…。
嵩原さん:僕は古風な感じがいいなと思っていて、今、ちょっとしたバトルが起きています(笑)。ともあれ、「あさくら だ ふぁみりあ」をもっと大きくして、「朝倉市に面白そうな所があるから行ってみよう」と思ってもらえるようにしたいです。ここを訪れる前後に周辺を巡って、街の魅力を知るきっかけを作ることができたらいいですね。また、今後はキッチンカーを導入する予定なので、駅前などいろいろな場所に出店したいです。
Q.移住を考えている人にメッセージをお願いします。
嵩原さん:水に関しては、市外から来られた方によく美味しいと言われます。真冬に水道が凍結することがありますが、引っ越した時に市役所から凍結防止の冊子をいただくので、水を貯めておくなど、書かれているとおりに対策しておけば問題ありません。飲食店を始めたいと考えている方にとって、美味しい水と、地元の新鮮な食材が手に入りやすいというのは、アドバンテージになるのではないでしょうか。
大海さん:福岡県は食べ物が美味しくて、飲食店や買い物をするお店もたくさんあるので、とても暮らしやすいと思います。街がコンパクトにまとまっていて、都心部から少し離れるだけで自然と触れ合えるのも魅力です。空港も近いので、県外への移動もスムーズです。
嵩原さん:気になる場所があったら、まずは週末だけ滞在して、ちょっとした移住気分を味わってみるのもよいかもしれません。ゆっくりと周辺を巡ってみたら、どんな街かわかってくると思いますよ。
※当インタビューは、2023年11月16日に行われたものです。
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