移住者インタビュー

福岡市 吉井 みどりさん

東京から約35年ぶりに帰ってきた福岡市。ほっとできる“わたしの街”で、新しいキャリアを見つけてがんばっています。

移住者DATA

Uターン

吉井 みどりさん

Profile
吉井 みどりさん(60歳)
Work

福岡県若者就職支援センター(受託企業:株式会社ACR所属)勤務

福岡市出身。地元の短大を卒業後、福岡市のイベント会社で働く。仕事で携わった映像制作に興味をもち、東京の映像制作会社に転職。2021年9月までTVディレクターとして活躍する。2022年5月福岡市に移住。

「いつかは帰りたい」と思っていた故郷・福岡市。移住相談センターで背中を押され、Uターンを決意。

Q.福岡市に移住するきっかけを教えてください。

生まれ育った福岡市を離れ、東京に出てきて約35年。いつかは福岡に帰ろうと思いながらもなかなかそのきっかけがありませんでした。今から約2年前、新聞を読んでいると「ふくおかよかとこ移住相談センター」という文字が目に飛び込んで来たんです。小さな文字だったのですがいつか戻りたいという思いがあったのできっと目に留まったんでしょう。そんな場所があることを知らなかったので、話を聞いてみようと足を運んだのが私の移住の第一歩となりました。

Q.「ふくおかよかとこ移住相談センター」はどのような目的で訪れましたか?

地元へのUターンなので相談の必要はないのでは?と思われるかもしれませんが、移住するにもまず何をすればいいのかわからなかったんです。周囲には移住の相談をできる人がいなかったので、誰かに背中を押してもらいたかったのかもしれませんね。窓口に行くと、とても親切な相談員の女性がいろんな話をしてくれて…というか聞いてくれて。移住したい理由や不安に思っていることなどを話しているうちに、具体的に移住するために必要なことが見えてきました。

Q.Uターンの決め手になったのは、どのようなことですか?

両親のそばで暮らしたいという思いです。父も母も80代半ばになり、体調を崩すことも増えました。ずっと東京での仕事を応援してくれていたのですが、やはり最近は心細くなったのか「帰ってきたら」ということも増えてきていて。近くでサポートしたいという思いが強くなっていました。また、仕事も決め手のひとつです。東京で長くTVの仕事をしていたのですが、この先のことを考えると福岡市に戻って転職をしたほうがいいと感じていました。フリーランスのTVディレクターとして幸いにも仕事は途切れることなく続いていましたが、今後も同じように働ける保証はありません。体力的にもハードですし、需要がなくなるかもしれないという不安もありました。ただ、仕事自体が楽しかったので辞める決心はつかず、定年もないためタイミングを見失っていました。ですが、一般企業の求人の条件は59歳までが多く、その時58歳だった私はいまの機会を逃してはいけないと新しい仕事を探して移住することを決意しました。

新しい仕事を見つけるために資格を取得。多忙なTVディレクターの仕事を辞めて、キャリアコンサルタントの道へ。

Q.Uターンにあたり、大変だったことはありますか?

新しい仕事を見つけることが一番大変でした。ずっとTV業界で働いてきて、事務系の仕事はしたことがありません。パソコンのスキルもあまり高くないですし、できる仕事があるだろうかと思うこともありました。そんな時、「ふくおかよかとこ移住相談センター」の相談員の方が私のこれまでの経歴などを見て、キャリアコンサルタントという職業を教えてくださいました。キャリアコンサルタントは職業に関する相談や助言を行う国家資格で傾聴スキルが必要と知り、これまで仕事を通してたくさんの方の話を聴いてきた経験を活かせるかもしれないと思い、資格取得に挑戦。スクールに通い、2021年9月に仕事も辞めて試験勉強に専念し、2022年4月に合格しました。また将来のことも考え、介護職員初任者研修の資格も取得しました。

Q.仕事はどのように探しましたか?

東京のハローワークで福岡の求人を探しました。キャリアコンサルタントとして働ける仕事を探しつつ、これまでの経験を活かせるTV業界や仕事で日本中を回っていた経験を活かせる観光の求人なども見ていました。履歴書は20通くらい送ったのですが、すべて不採用。年齢的なこともあり難しいのかと思っていた2022年3月に「福岡県若者就職支援センター」の求人を見つけ、応募したんです。これからやってみたいと思っていた職種だったので採用の知らせをいただいた時はとてもうれしかったです。応募した時はまだキャリアコンサルタントの資格は取れていなかったのですが、職務経歴書に取得予定ということを記入したのも功を奏したのかもしれません。

オンライン座談会開催時の吉井さん。「オンラインで参加できるので、移住を考えている方のお仕事探しにもおすすめです」

Q.現在の仕事について教えてください。

先ほどお話しした、若者の就職活動を支援する「福岡県若者就職支援センター」(受託企業:株式会社ACR所属)に勤務しています。4月に始まった「オンライン座談会」という、福岡にある企業の経営者や採用担当者がオンラインで自社の取り組みなどを語るWebセミナーの企画運営スタッフとして働いています。毎月2~3回オンライン座談会を開催していて、上司や同僚と一緒に企画を考えたり、告知のチラシ作成、セミナーの実施などを行っています。オンライン座談会のファシリテーター(座談会がスムーズに進むように進行を担う役割)も担当しているので、このスキルをもっと磨いていきたいと思っています。以前と全く異なる職種ですが、目標が見つかり、やりがいも感じています。

東京での多忙な日々から、ゆとりのある暮らしへ。「自分の居場所に帰って来た」安心感を感じています。

Q.住宅情報はどのように収集しましたか?

住む場所は、実家の近くと決めていました。高齢の親とは生活スタイルが違いますし、父や母の暮らしのリズムを崩したくなかったので同居は考えなかったですね。また、20年以上住んでいた東京・中目黒のマンションは、便利な場所ではあったのですが、狭く日当たりが悪かったんです。なので、福岡に戻ったら日当たりがよく、生活を大事にできる環境で暮らしたいと思っていました。目星をつけていた団地があったので、毎朝Webをチェックしていたのですが、なかなか空きが出ず…。諦めかけた時、私より1年前に東京からUターンしていた友人が、希望する団地の物件を見つけてくれて無事に住む場所が決まりました。実家まで自転車で5分、地下鉄駅まで自転車で10分の理想的な場所です。

Q.生活はどのように変わりましたか?

東京でTVディレクターをしていた時は、全国あちこちに行くことが多かったですし、深夜まで働くのは当たり前、休日も少ないなどとても忙しい日々でした。今は9~18時、土日休みの仕事なので生活にゆとりが生まれました。朝の時間を楽しむ余裕もでき、職場の最寄ひとつ前の駅で降りてケヤキ並木を歩いたり、喫茶店でモーニングを食べたりすることも。休日は早起きして室見川沿いのサイクリングロードを自転車で走り、川沿いでラジオ体操をするのが楽しみです。また、母と一緒に西新商店街に買い物に出かけて、おしゃべりしたりするのも親子の楽しみになっています。これからも旅行やドライブに行くなど、東京に住んでいた頃はできなかったことをしていきたいですね。

幼い頃からの思い出が詰まった室見川。今は休日の朝、サイクリングやラジオ体操に出かける。
幼い頃からの思い出が詰まった室見川。今は休日の朝、サイクリングやラジオ体操に出かける。
福岡市西区「愛宕神社」もよく出かける場所のひとつ。
福岡市西区「愛宕神社」もよく出かける場所のひとつ。
神社の階段の上り下りはいい運動になるのだそう。
神社の階段の上り下りはいい運動になるのだそう。
愛宕神社の展望所からは、福岡タワーなど福岡らしい風景を一望できる。
愛宕神社の展望所からは、福岡タワーなど福岡らしい風景を一望できる。

Q.久しぶりの福岡暮らしはいかがですか?

街の様子はすっかり変わりましたが、それでもやはり「自分の居場所に帰って来た」という気持ちです。東京ではおじゃましている感覚がずっとあったのですが、福岡に帰ってきたらやっぱり私の街だと感じますね。特に幼いころからの思い出が詰まった室見川周辺は安心感があります。

Q.移住してよかったと感じるのはどんな時ですか?

親のサポートをする時に、帰ってきてよかったと思います。移住して2ヶ月後に父が他界したのですが、在宅医療中は毎日実家に行って介助をしていました。短い時間でしたが父を看取ることができ、また少しでも母の力になることができてよかったと思います。そして、福岡の魅力のひとつでもあるおいしいものを食べた時にも帰ってきてよかったと思います。東京では値が張るアジやサバの刺身が驚くような価格で食べられるのはとても贅沢。仕事帰りの時間だとスーパーで半額になっていることも。あまりに安くおいしかったので東京の友達に写真付きで「これで200円!」とメールを送って自慢しちゃいました(笑)。

食の豊かさも福岡の魅力。「うどんに入った揚げたての丸天に感動しました」。
食の豊かさも福岡の魅力。「うどんに入った揚げたての丸天に感動しました」。
山笠の時期に帰省することがなかったので、久しぶりに山笠の飾り山に遭遇。
山笠の時期に帰省することがなかったので、久しぶりに山笠の飾り山に遭遇。

移住は想像以上にパワーが必要。でも目的があるなら諦めずにがんばって!

Q.福岡県に移住を考えている人にメッセージをお願いします。

移住には想像以上のパワーが必要です。私も東京での仕事を辞めたものの福岡への移住も決まっていない頃、「本当に帰れるのだろうか?」と何度も不安になりました。でも諦めずやるべきことをした結果、無事に移住できました。どんな生活がしたいのか明確に思い描き、その目標に向かってがんばってください。還暦の私がこうやって移住して、新しい仕事に取り組んでいる様子が、誰かの勇気や希望になればうれしいです。

※当インタビューは、2022年10月1日に行われたものです。

こちらのインタビュー記事もおすすめです

  • 糸島市 ターン

    野北さん夫婦インタビューページへ

    夫婦で世界一周の旅をして、いちばん住みたいと思った街が、糸島でした。

    ゲストハウス経営 野北さん夫婦

  • 北九州市 ターン

    柴﨑 哲和さんインタビューページへ

    終の棲家をどこにするか考えたとき、 頭に浮かんだのはやはり生まれ故郷でした。

    地域活動 柴﨑 哲和さん

ページトップ
へ戻る

ふくおかよかとこ移住相談センター

福岡窓口

〒810-0001 福岡市中央区天神1-4-2
エルガーラオフィス12階(福岡県若者就職支援センター内)
TEL・FAX:092-712-2325
営業時間:10:00~18:00(平日) 10:00~17:00(土日祝日)
※年末年始は休業

東京窓口

〒100-0006 東京都千代田区有楽町2-10-1
東京交通会館8階(ふるさと回帰支援センター内)
TEL・FAX:03-6273-4048
営業時間:10:00~18:00
※月曜、祝日、盆、年末年始は休業

Copyright ©Fukuoka Prefecture All rights reserved.