Uターン
- Profile
- 則松哲雄さん(34歳)
- Data
- 大刀洗町出身。久留米の美容院で働いたのち、イギリスへ。ロンドンの美容室で2年間技術を磨き、帰国。大阪の美容室に約7年勤めたのち、妻と二人の子どもを連れて大刀洗町にUターン。念願の美容室「CIRCLE」を2014年にオープンした。
- Work
- 美容師
Q. 移住のきっかけを教えてください。
自分が理想とするスタイルで働きたいと思ったことがきっかけです。久留米の美容室では技術の基礎を、ロンドンでは薄利多売にならないためのノウハウを、そして大阪では独立するための熟練した技術をそれぞれ身に付けることができました。そして、3つの土地で働き、改めて自分の理想の形を考えた時、流れ作業ではなく、一人のお客さまとじっくり向き合える美容室を福岡に帰って開きたいと思ったんです。大阪の中心部で働いていたので、福岡でも最初は福岡市の天神や大濠を考えたんですけどね。家賃のことなどを現実的に考え、実家の敷地内に店を開くことに決めました。
Q. 仕事の不安はありませんでしたか?
顧客がほぼゼロの状態で大刀洗町に美容室を開くので最初は難しいだろうと思っていましたが、将来的な不安はありませんでした。ちゃんと仕事をしていればお客さまは来てくれるということはこれまでの経験からもわかっています。実際のところは…最初はヒマでしたよ(笑)。でも、周りの人たちが心配して来てくれたり、別の方を紹介してくださったり。人と人の繋がりが強い土地だからこそクチコミが広がりやすいんですね。でも、行きつけの美容室ってなかなか変えられないものじゃないですか。様子を見ている人や、評判を確かめて来店する方が多かったみたいですね。そして、「1時間くらいかけて天神の美容室に行っていた」という学生や若い方が多いのにも驚きました。そういったお客さまによろこばれているのはうれしいですね。経営が軌道に乗ったのは最近かな。それまでは貯金を切り崩して生活していました。
Q. ご家族の反応はいかがでしたか?
妻は大阪出身なのですが、福岡に戻ると言った時、「大刀洗はダメ、田舎すぎる」と言いました(笑)。「いやいや、現実を見ろ。都会に住める経済状況じゃないぞ」と言って説得して…。納得ですか?うーん、してなかったと思います。妻が気にかけていたのは自分の仕事が見つからないんじゃないかということ。でもやろうと思えば農家の仕事でもコンビニでも何でもありますよ。今は、久留米市で働いているのですが、勤めに出るようになって楽しそうですね。そのほかにも保育園の保護者会役員をするようになって友達も増え、少しずつ地域になじんできているようです。
Q. お子さんの様子に変化はありましたか?
まずは、大阪弁から筑後弁になりました(笑)。いま6歳の息子は、以前よりも断然喋るようになりましたね。3歳すぎてもあまり喋らないので心配していたのですが、ここに移住してきてすごく言葉が増えて。ちょうどそんな時期だったのかもしれないですが、安心しました。それと、息子はストレス症状が体に出ることがあったのですが、それもなくなりました。気付かないうちに何かしらのストレスを感じていたんでしょうね。今は田んぼを走り回ってのびのびと過ごしています。
それと、大阪にいる時は、3歳の娘が自分にあんまりなついていなかったんです。上の子の時はそうでもなかったのですが、下の子が生まれた時は仕事が忙しく、帰ってくるのがいつも深夜だったので、触れ合う時間が足りなかったんでしょう。いまは、仕事が終わるのは遅くても20時頃。家族との時間は倍以上になりました。下の子もなついてくれているのがうれしいです。
Q. 移住による生活面の変化を教えてください。
美容室は完全予約制にしているので、プライベートな時間を作りやすくなりました。職場がドアtoドアで3歩なので、通勤時間もないですし(笑)。保育園への子どもの送り迎えも自分がやっています。日曜日はあまり忙しくない日が多いので、庭で家族や友人とバーベキューをしたり。そんな時間をもつなんて以前では考えらなかったですね。ほかにも、中学・高校の頃の仲間と毎週土曜日の夜はバスケットボールをしたり。地元の友達との交流が増えたのもうれしいです。美容室にも来てくれますよ。
休日は、大阪のころからの趣味の自転車に乗ったりします。いまは仲間がいないので、前よりは出かける回数が減りましたけど、近くのうきは市まで自転車で行ったりします。家から15kmくらいですかね、30分ほどで着きますよ。フルーツが有名なエリアで、おしゃれなお店も多く、出かけるのにちょうどいい場所です。
Q. 移住して一番よかったと感じることはどんなことでしょうか。
日常の中に四季を感じられることです。美容室の大きな窓から田んぼが見渡せるんです。春から夏にかけて緑が美しく、秋には黄金色のじゅうたんのようになります。冬はなにもなくなるけどそれはそれでいいものですよ。夜になると虫が鳴くとかカエルの声がうるさいとか(笑)。近くには牛が飼われていたりして、子どもたちも生き物と触れ合う機会が増えました。
また、自分が小さい頃に参加していた行事を、子どもが体験したりするのも感慨深いですね。ここでは季節ごとにお祭りがあります。大阪でもありましたが、地域とのつながりがなかったので参加することはありませんでした。今では、町民体育祭に遊びに行ったり、神社の行事で子ども神輿を引っ張ったり。その姿を見てうれしかったですね。
Q. 戻ってきて改めて感じる大刀洗町の魅力とは?
のどかだけど便利な場所だと思います。電車も走っているし、高速道路のICも近い。福岡市までも車で1時間足らずで行くことができます。ドライブに行くとしても、出かける場所が周りにたくさんあるので、休みの日も暇を持て余すことはないですね。
また、子育て支援も充実しています。保育料が安いことで知られていて、第2子は半額、第3子は無料なんです。うちの子も半額なので助かりますね。9月からは産後ケアの補助も始まったそうですよ。子育て世代にもオススメです。ほかにも、「子育て支援センターちゃお」では毎日のようにイベントが行われているので、他地域から来た方も参加しやすいはず。町内に2カ所ある「アンビシャス広場」では小学生向けのレクレーションやワークショップなども行われているようなので、子どもがもう少し大きくなったら参加したいですね。
Q. 移住を考えている方にメッセージをお願いします。
近所づきあいを面倒だと思わないなら田舎もいいですよ。面倒見のいい人が多いので、相談すれば力になってくれます。言い方がきつい人もいるけど(笑)、そういう人ほどサポートしてくれるものです。
※当インタビューは、2016年8月30日に行われたものです。
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