Iターン
- Profile
- 馬場義之さん(45歳)
- Data
- 佐賀県佐賀市出身。関東、福岡、北九州、佐賀を経て、2010年に久留米市に移住。佐賀県の職場に通いつつ、休日はパパサークル「パパラフ」の代表として活動する。8歳の長男、5歳の長女、3歳の次男、3人の父親。
- Work
- 会社員
Q. 移住のきっかけを教えてください。
長男が幼い頃、のどに食べ物を詰まらせたことがあったんです。夜中に激しく咳込み、顔が真っ青になる長男を見て、私たち夫婦もパニックに。夜間・緊急の医療コールセンターに電話をしたところ「久留米市の『聖マリア病院』に行くように」と言われたんです。車を走らせ高速に乗ったものの、インターチェンジから病院までの距離があり、久留米の道に詳しくないことから到着するまでに30分はかかったでしょうか。その時間はとても長く感じました。もし、同じようなことが起きたら・・・そう思い、2人目の妊娠をきっかけに、久留米市に移住を決意しました。
Q.移住される前、どのように情報収集されましたか?
私は子どもを一番の基軸として情報収集をしていました。久留米市の子育て情報や、医療の情報を主に見ていたと思います。そこで、久留米市は古くから「医師のまち」と呼ばれるほど医療施設が充実していることも知りました。平成24年の調査では、全国の政令市・中核市を合わせた62都市のなかで人口10万人あたりの小児科・産婦人科の医師の数は全国1位になったそうです。(※1
妊娠中に上の子を保育園に無料で預けることができたり、調べた当時、保育園・幼稚園の待機児童の数も1ケタ(平成26年4月1日現在)だったりと子育ての支援も充実していることもポイントでした。
また、実際に足を運んでまちの雰囲気を感じたりもしました。他県からの転入者も多いため、ふれあった人たちも皆オープンで、私たちも受け入れてもらえそうという印象を受け、住んだらおもしろそうなまちだと思いました。
Q.ご家族の反対はありませんでしたか?
佐賀と久留米は近いといってもやはり別の県。筑後川を越えるのは私自身、一大決心でした。身内がいるわけでもないので、当初、妻は不安を口にしていました。やはり県が変わるというのがカルチャーショックというか・・・。大きなまち、知らない道、そんな環境で暮らしていけるのかと心配だったようです。なるべく不安をなくすために、住む場所は佐賀との県境の近くに決めました。今ではすっかり慣れ、久留米の生活に満足しているようです。住んでいる町内で一通りのものはそろうので生活がコンパクトですし、子ども連れにもやさしいまちです。
佐賀に住む両親は「せっかく帰ってきたのにどうしてまた出るんだ」と反対しましたね。そこで、地図とコンパスを持ってきて、実家を中心に車で1時間範囲の円を描き、「久留米なら大丈夫。何かあったらすぐに行ける距離なんだよ」ということを説明し、理解してもらいました。実際、少し離れた今の方が両親との関係も良好です。
Q.お子さんに変化はありましたか?
移住する前、長男は人見知りが激しかったので友達を作れるかどうか心配でした。久留米に住むようになると、地元の人、同じように移住してきた人と多く接する機会があり、初めての人でも臆さないようになりましたね。小学校でも友達がたくさんできているようですよ。そして、子どもたちは佐賀弁じゃなくて筑後弁になっています(笑)。この子たちは故郷が久留米になっているんだなと感じます。
Q.移住のうえで、仕事への不安はありませんでしたか?
移住前も移住後も、佐賀県みやき町にある会社に勤めています。仕事を変えずに移住ができるというのも私にとっては大きなポイントでした。以前は車で20~30分くらいかけて通っていたのですが、いまは自転車で10~15分くらい。車よりも四季を感じられますし、いい運動になりますしね。田園風景や筑後川を眺めながらの通勤はとても快適です。妻も車で10~20分ほどで通える佐賀県内に勤めに出ているんですよ。
Q.移住したことで、生活面ではどのように変化しましたか?
移住して1年たったころでしょうか、次男の妊娠が分かりました。佐賀ではお父さん同士のつながりもなかったので、何か悩んだ時はネットで情報を探していました。久留米では、実際に子どもを通してお父さんたちとつながりたいと思ったんです。私は子どもを持つのが遅かったので、同級生と子育て時期にギャップがあり、子どもの話ができる友人も少なくて・・・。移住してきて、久留米市子育て交流プラザ「くるるん」に子どもを連れて通っていたところ、スタッフさんに「よく来ているようですから、何か初めてみませんか?」と言われたんです。もっと父親同士が情報を共有できる場が欲しいと思い、パパサークル「パパラフ」を始めました。
現在は毎月1回、「くるるん」で座談会を行っています。参加者は3年半の活動で述べ270人くらい。会社員、医師、薬剤師、フリーランス…などいろいろな方が参加するので楽しいですよ。毎回、7~8人のパパが集まって、子どもが周りで遊ぶなか話をしています。子育てはもちろん、趣味や特技のことなど話のネタはさまざま。お父さんとしての悩みや相談、夫婦の相談なども多いんですよ。ここではお父さん同士、ざっくばらんに話せるのでみなさん饒舌です。時には「奥さん自慢をしよう!」などお題もあったりして、なかなか盛り上がるんですよ。そして、お父さんがお子さんを連れて来るので、奥さんはその時に自由な時間をもつことができ、よろこばれているようです(笑)。
座談会で出た話がきっかけで外に出て活動することもあり、これまでには田植え、稲刈り、川遊び、バーベキューなどを行いました。子どもと一緒に体を動かしていろいろな体験をすることで、お父さん同士の距離も縮まりますしね。
また、私自身は代表として父親の育児参加についての講演をしたり、市町村で行われる育児フォーラムの講師になったりすることも。本当にさまざまな面で変化しました。
久留米市子育て交流プラザ「くるるん」
http://www.city.kurume.fukuoka.jp/1050kurashi/2040kosodate/3030kururun/index.html
久留米市子育て支援情報サイト
http://www2.city.kurume.fukuoka.jp/
Q.子育て環境はどうですか?
久留米市は子育て支援の施設が充実しています。「パパラフ」の活動の拠点となっている「くるるん」など、子育て支援センターが8カ所くらいあるんですよ。子ども関連のイベントは1年365日のうち355日行われているほど、子育てに対して積極的な市だと思います。育児関係の制度も充実していて「パパラフ」の活動の立ち上げには助成金が出たので、利用しました。
Q. 久留米市のお気に入りの場所を教えてください
久留米市のシンボルの一つでもある筑後川が大好きです。筑後川の自然を楽しみながら保全活動を行う「Good News」という団体の、毎月第2土曜日の午前中にある筑後川の清掃活動に家族で参加しています。こういう活動をすることで、いろいろな人と知り合うこともできますし、さらに久留米に愛着がわいてきます。清掃後は仲間たちとバーべキューをしたりすることもあり、それも楽しみの一つです。
Q. 移住して一番よかったと思ったことは何ですか?
やはり医療の充実です。久留米に引っ越してきて、また長男が救急で病院にかかったことがありまして。その時は自家用車で病院に向かいましたが5分で到着、大事に至りませんでした。子どもが小さいうちは急な病気をしたり、けがをしたり、何かと病院にかかることが多いもの。そんな時、すぐに行ける病院があるというのは大きな安心です。私自身も、急病の時、すぐに病院に駆け込んで治療ができました。
久留米は、都会でもなく田舎でもなくちょうどいい規模のまち。20~30分車で走らせれば駐車場が無料の大きな公園があるなど、お金を使わなくても自然のなかで子どもをのびのびと遊ばせられる環境もありがたいですね。
Q. 福岡へ移住を考える方へメッセージをお願いします。
私の場合、仕事はそのままで、住む場所だけを変える移住だったので、他の方の移住とは少し違うかもしれません。でも"自分の住む場所を決める"という点は同じだと思います。"いま自分が住む場所には、何が必要なのか"を考えてみるといいのではないでしょうか。私の場合は子どもにとっていい環境が必要で、それが移住につながりました。久留米市は人と人の交流が活発で暮らしやすいまち。外から来た人も受け入れてもらえやすい土地柄なので、移住を考えている方もきっと溶け込めると思います。特に小さいお子さんをもっているお父さん・お母さんには久留米は住みやすい町だと思います。
移住を考える時、子育て環境の優先順位は2の次、3の次になりがち。でも、それに重きを置いて探すと、久留米のよさはさらに見えてくると思いますよ。私は、久留米を選んでよかったと思っています。
※当インタビューは、2015年10月10日に行われたものです。
参考
(1)久留米市ホームページ 広報くるめ http://www3.city.kurume.fukuoka.jp/shisei/14_9_1/news/09.htm
こちらのインタビュー記事もおすすめです
-
添田町 Iターン
最初に添田町を訪れた時、移住を即決しました。添田町のきれいな水や空気でおいしい野菜を作って、どんどん私の野菜を発信していきたいです。
就農実践研修生 宮井潤一さん
-
筑後市 Uターン
福岡の人間は、心が広い連中が多い気がします。都会の人間より時間と気持ちに余裕があるからですかね。
写真館経営 鹿田典夫さん