移住者インタビュー

LIFE STYLE 筑後市

この街の売りの言葉は「恋のくに 筑後市」。人間ひとりでは生きていけない。最後は絶対誰かの世話にならなければならない。筑後市はそれが満たされる街なんです。

移住者DATA

ターン

Profile
芝田 良倫さん(51歳)
Data
大阪から移住し、福岡市内での自営業を経て、現在は筑後市の魅力を様々な人に伝える「地域おこし協力隊」の活動に取り組む。街中を飛び回る充実した日々を過ごす。
Work
大阪から移住し、福岡市内での自営業を経て、現在は筑後市の魅力を様々な人に伝える「地域おこし協力隊」の活動に取り組む。街中を飛び回る充実した日々を過ごす。

筑後との出会いは「たまたま」でした。

Q. 移住を思い立ったきっかけを教えてください。

生まれは大阪で、27歳の時から福岡市内に住んでいて、もともと田舎に興味がありました。探していたわけではないのですが、たまたまパソコンを開いていろいろと見ていたら、『ちくご暮らし』という福岡県のサイトがあったんですね。そこをクリックしているうちに、「筑後ぐらしを体験してみませんか?」と文字が出てきました。当時は正直言って筑後市って全然知らなくて・・・。まぁ、知らないところのほうがいいだろうと、その事業に応募したら選ばれまして、ちくご暮らし体験施設「筑恋邸(ちくれんてい)」でお世話になったのがそもそものきっかけです。

大きな変化は本来の人間らしい生き方に変わってきたこと。

芝田さんが筑後ぐらしを体験した「筑恋邸」。

Q. 筑後市での生活で一番の変化を教えてください。

福岡市内にいるときは夜型でした。校区自治会に携わっていたので、自分の本業が終わってからの出ごとが多くて、帰宅はだいたい午前様だったんですね。一番変わったのは「早起き」。早寝はそこまでないですけど、でも、福岡にいるときよりは早く寝るようになりましたね。起きるのは確実に早くなった。5時ぐらいになったら目が覚めるんですよ。なぜかなって思うんですけど、空気とか風とか周りの音とか、そういうのは逆に静かなんですが、昔の人じゃないけどコケコッコーと(鶏が)鳴いたら目が覚めるみたいな。鳥のさえずりとか、農家のおじいちゃんたちが早く出てきて作業する音とか、そういうのが耳に入ってきて自然に体が馴染むというか。自分を振り返って「こっちに来てから変わったことはなんですか?」と聞かれる度に、「本来の人間らしい生き方に変わってきたんじゃないか」と答えます。これが一番大きなところですかね。

気持ちは一兵卒。筑後市での新たな仕事「地域おこし協力隊」。

デスクワーク中の芝田さん。

Q. 以前の職業と今のお仕事について教えてください。

以前は福岡市内の博多区で身体障害者の福祉事業をしていたのですが、それを辞めました。その理由は、他にやりたいことが出来たから。総務省が制定した「地域おこし協力隊」に、筑後市が初めて取り組むことになり、その募集が行われました。当然、私は「筑恋邸」にお世話になったときから、やはり住むのは筑後だなと思っていましたのでこれに応募したんです。それに、筑後市の場合は定住人口を増やしたいということで、自分が今まで培ってきたボランティア活動とか、長年ずっと自分が取り組んできた田舎への想いを活かせるんじゃないかと考えました。

筑後の伝統工芸品「赤坂人形」を取材する芝田さん。

筑後市には身寄りも何もありません。今までは自分で事業をしていましたし、福岡では自治会のトップみたいなところに就いていました。正直、周りの謙遜はかなりあって、自分を見失っていると言ったら大げさですけど、「自分って一体どんなものなのかなぁ・・」というのを考えたときに「あっ!知らない人たちばっかりの中に身を投げたほうが、自分にとってはいいんじゃないか!」と、また1からリセットみたいな感じで筑後市に住むことを選んだんですね。

それが自分にとっては大正解で、全てが初めての体験ですよね。気持ち的には新卒で「ぽん」と入った一兵卒。そんな新鮮な気分なんですよ。それがかえって自分を刺激するんです。今までは自分で事業をやってきた訳ですから、何時にどこに行こうが自分の勝手だったんですけど、それがある程度良い意味で拘束されたり、かつ、地域おこし協力隊なので自由勝手も許されたり。そのアンバランスなところが自分には合っているんじゃないかと、今、本当に楽しみながらやっています。

生きていく上で大切なこと、それは風、空気、食、そして人。筑後市にはそれがある。

矢部川の静かな流れ。
奥に見えるのは、JR九州と九州新幹線の路線。

Q. 移住して良かったことと、福岡県の魅力を教えてください。

14年ぐらい前に大腸がんを患いまして、こんな大きな体で健康そうに見えるんですけど、大腸の3分の2は切って無いんですよね。確かに都会に住んでいれば大きな病院も近いし、いざというときに家族もいるわけですから対応はいいかなと思いますが、本当はもっと大事なものがあるんじゃないかって。単純なことなんですが、風とか、空気とか、水とか、新鮮な食べ物とか。昔はその時の旬なものを食べていたと思うんですよ。魚にしても、肉にしても。筑後は「それがある場所」ということに気づかされました。

博多⇔鹿児島を結ぶ九州新幹線。
九州新幹線の駅、「筑後船小屋駅」。
JR九州の駅もあり、交通アクセスが良い。

で、その大きな土壌がある中で、実は私が筑後市に移住しようと決めた大きなポイントがあります。それが何かというと、「人」なんですよ。筑後の「人」。これはひとつの言葉で表すのはなかなか難しいのですが、人間本来が持っている温かみ。手と手を触ったら温もりを感じるじゃないですか。それを筑後の人は心で感じている部分があるんです。これはお世辞でも何でもなくて、都会で生活してきた僕だからこそ、なおさらそう感じるんだと思います。

都会の人っていうのはそういうこと(ふれあいなど)を避けたいから、マンション住まい、アパート住まいする人が結構多いです。僕は都会でもそれじゃダメだと思い、特に防災の観点からダメだと言ってボランティア活動をやっていました。筑後はそういうことしなくても、言い方を変えれば、村独特の「しがらみ」があるんです。でも僕から言えば、その余計なおせっかいがうれしかったりする。昔の日本は多分そうだったんだろうなって感じます。それがまだ残っている街にも関わらず、そんなに田舎田舎していない。村村していない。ちょうど程良いバランスを保っているというのが最大のいいところだと思っています。

人の心、気持ちで移住先を決めれば、定住して良かったとなると思います。

Q. 福岡県への移住定住を考える方へメッセージをお願いします。

田舎暮らしを夢見ている方は、全国には多くいらっしゃると思います。どこを選ぶかはその人のポイントによって変わってくると思いますが、私が定住してきたこの筑後市という所は、さっきも言いましたけど、やっぱり「人」がいいんです。移住して、そこで長らく住もうと思ったら、食べ物とか水とか風とかそういうのも当然、必要条件ですけれども、やっぱり人間ひとりでは生きていけない。途中は我を張ればひとりでも十分だと思いますけど、最後になれば絶対誰かの世話にならなければならない。それが満たされる街なんです。

この街の売りの言葉は『恋のくに 筑後市』なんですが、恋って恋愛だけではなくいろいろあって、「人を想うくに」それが恋なんじゃないかと筑後市ではテーマにしているんですね。そういった人の心、恋に触れる街なのです。筑後市は山奥だとか海の先端とかではなく、コンパクトにまとまったバランスのいい土地だと思います。移住を考えている皆さんは施設が良かったり、食べ物が良かったり、暮らしやすかったり、交通インフラが整っていたり、というところを探されるかと思いますけど、ぜひ最後は「人」で決めてほしいですね。人の心、気持ちで移住先を決めれば、定住して良かったとなると思います。できれば、ご自身で筑後市に来て確かめていただければ、「あいつの言ってたことはホントだったな」と分かってもらえると思います。

※当インタビューは、2014年11月17日に行われたものです。

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