移住者インタビュー

岡垣町 鍾 健強さん、凱晟くん、奥寺優美子さん

自然に囲まれた場所で子どもの感性を育みたい。訪れた時に感じた豊かな自然と人の温かさにひかれ、名前さえ知らなかった岡垣町に移住しました。

移住者DATA

Iターン

鍾 健強さん、凱晟くん、奥寺優美子さん

Profile
鍾 健強さん(38歳)、凱晟くん(4歳)、
奥寺優美子さん(41歳)
Work

健強さん:会社員
優美子さん:フリーランス

健強さんは、マレーシア・クアラルンプール出身。約10年前に来日し、東京で日本の生活のすべてをスタートし、現在は医療機器メーカーに勤務している。
優美子さんは千葉県に生まれ、幼少期から社会人期まで関東圏で過ごす。仕事の都合で香港や台湾で暮らした経験も。出産後は、育児家事とのバランスと優先し、フリーランスでライターやマーケティングプランナーなどをして働く。
二人は、結婚後約5年間東京で暮らし、2022年4月に岡垣町に移住した。

自然に近い場所で五感を感じて生きる力をつけたいと思い、移住を決意。譲れないさまざまな条件を満たしたのが福岡県です。

Q.移住のきっかけを教えてください。

優美子さん:自分や家族にとってより良い環境を考えて、自然がすぐそばにある場所に移住することを決めました。移住前に住んでいた東京都江戸川区は子育て環境が充実していて、とても便利で暮らしやすい場所だったのですが、人生の優先順位が変わったのもあり、これからのライフスタイルを夫に提案しました。

健強さん:私も仕事がコロナ禍以降からほぼ在宅勤務になり、どこにいても働けるというのも移住の後押しになったと思います。

Q.福岡に移住することを決めた理由を教えてください。

優美子さん:移住を決めたのは2021年3月頃です。とはいえ、その時は移住先の候補がまだなく、まずは全国から候補地の絞り込みを始めました。

健強さん:私は南国育ちなので寒いのは苦手です。雪かきも未経験ですし。なので、雪が降らない地域から選ぶことになりました。でも、東京以外は全く知らないのであらゆるネットを見てどの場所がいいのか、ひたすら調べていました。悩みに悩んで半年後に福岡県が候補にあがりました。

優美子さん:移住するといっても、自然が豊かという条件に加え、ある程度都会にも近い場所がいいと考えていました。私たち家族は持病やアレルギーの数値が高いなど、定期的に通院の必要があります。万が一を考えて、大学病院まで1時間以内で行けるといった、医療機関に困らないとこも条件のひとつでした。

健強さん:それだけでなく、県内には福岡空港、北九州空港の2つがあり、約2時間あれば飛行機で東京に行くこともできます。仕事の急用があった時や、友人に会いたいと思った時にもすぐに行けるのが便利ですね。また、古くからアジアの玄関口と言われるだけあって、私たちが今後行き来したいと思っているアジア諸国へアクセスしやすい環境なども利点です。

Q.移住決定までのステップは、どんな行動をしましたか。

優美子さん:まず家族の中で移住の目的の共有です。10年後はどこでどんな風に暮らしたいかを夫婦で話し合いました。福岡県が候補地になった後は「ふくおか住みたか会員」に登録し、移住に関する様々な支援制度やイベント情報を定期的に確認しました。
大変お世話になったのが、「ふくおかよかとこ移住相談センター」東京窓口の方です。直接窓口に行かなくとも、メールやオンライン相談で空いている時間の中でしか移住のことを進められない中、情報提供が非常に円滑で大変助かりました。また、「働くばい ふくおか」のセミナーに参加し、オンラインの個別相談会で気になっていた福岡県内の市町村のご担当者の方と直接お話できる機会があり、その際、岡垣町の担当者の方に出会ったのが運命の始まりでした。

不安だったのは知らない土地での人間関係。実際に人の温かさに触れ、岡垣町なら大丈夫と確信しました。

Q.福岡で暮らすことへの不安はありませんでしたか。

優美子さん:夫も私も母国を離れて海外で暮らした経験があるので、それに比べれば言葉も通じるし…と思いながらも、今回は家族での移住。特に環境の変化に敏感な息子のメンタル面も心配ですし、これまでまったく縁もゆかりもない場所での人間関係が不安でした。住む場所があっても、頼る人もいないまま疎外感を覚えるような場所だとしたらどうしようと。その気持ちを払拭してくれたのが、岡垣町役場の方の対応です。移住相談だけでなく、福祉課、子育てあんしん課、どの窓口にどんな相談しても、丁寧でこちらに寄り添って対応してくださるあたたかさに心を動かされました。移住相談の担当者の方は、質問メールのやりとりや移住資料のパンフレットが送られてくるスピードもどこよりも早く、熱意が際立っていました。さりげない心遣いに感謝し、ここならきっと大丈夫。という安心に繋がりました。

健強さん:岡垣町の情報はほとんど知らなかったのですが、電話やメールから伝わる温かく迎えてくれる雰囲気、資料や担当者の方からいろいろ教えていただけることが増えるたび、どんどん岡垣町が我々の中で魅力的になり、惹かれていきました。

Q.そのほかに、移住先を岡垣町に決めた理由はありますか。

優美子さん:岡垣町を調べるうちにわかったのですが、私たちの移住の条件にもぴったり合う場所でした。海も山も近く、北九州や福岡に行きやすい場所なので医療環境にも不安はありませんでした。また、町の水道水の多くは地下水で賄われていることや、地域で果物狩りができ、漁港で水揚げされる新鮮な魚介が身近に手に入り、直売所もあるなど、心惹かれる部分がたくさんありました。

Q.移住を決めたあと、行ったことはありますか。

健強さん:気持ちはほぼ岡垣町に決まっていたのですが、最終決定するために、ほかの市や町も含めた福岡県の候補地に実際に家族で足を運びました。暮らしている人たちが普段使う場所や物価のチェックです。市や町の役場や公共施設、スーパーなど観光ではなく、生活をするという視点で観察しながら場所をめぐりました。そこでも岡垣町の移住担当者の方は、町を案内してくださり、行く先々で出会う方みなさんがとても温かくて感動し、移住を決めました。

ほぼ100%在宅勤務の働き方が移住を後押し。平日も海に出かける、家庭菜園を始めるなど、自然が近い暮らしを満喫しています。

Q.現在の仕事について教えてください。

健強さん:移住前から変わらず、都内にオフィスがある外資の医療機器メーカーに勤務しています。コロナ禍になってからほぼ在宅勤務で、オフィスに出社するのは3~4ヶ月に1回程度。東京で暮らしていた頃と働く環境的に変化はありません。ですが、通勤圏が決まっており、移住か仕事か。悩みに悩んだ末、正社員というステージを変えて継続しています。

優美子さん:私は、東京にいたころから「食」にまつわる仕事に携わっています。産直品を販売するECサイトのマーケティングを行うなど、フリーランスで活動しています。飲食店の紹介を行うライター業も行っていました。パラレルワーカー(複数のキャリアや仕事をもって働く人)としてこれからもこれまでの経験を生かしてお役に立てることを仕事にしていきたいと思っております。

Q.生活はどう変わりましたか。

健強さん:平日働いて、土日休むというリズムは変わりませんが、自然に囲まれた暮らしのよさを実感しています。東京では窓の先に見えていたのは隣のマンション。いまは、朝カーテンを開けると田んぼや山などの風景が見えて、心がリラックスするのを感じます。故郷のクアラルンプールも都会なので、岡垣町に来て初めてカエルの鳴き声が日常になりました。見たことない虫もたくさんいて刺激になります(笑)。

優美子さん:福岡は東京より日が長いため、例えば仕事の後に息子を幼稚園に迎えに行ってそのまま海岸で砂遊びして夕日を見るなど、これまでには考えられなかった時間の過ごし方ができるのもうれしいです。ほかにも、自宅そばの農家さんが畑の一部を貸してくださったので、家庭菜園にも挑戦しています。今年の夏は、ミニトマトやピーマン、島オクラ、アジアのハーブなどを育てました。

健強さん:畑仕事は初めてだったのですが、昼休み時間に水やりしたり週末は雑草抜きしたり、育てた野菜は食べ飽きるまで収穫しました。これまでは、休日の午前中はTVを見て過ごすことが多かったのですが、いまは朝食を食べたらから畑に行って太陽を浴びています。

夏は19時すぎまで明るいので、暑さが落ち着いた夕方に海水浴に出かけることも。
夏は19時すぎまで明るいので、暑さが落ち着いた夕方に海水浴に出かけることも。
畑で野菜を収穫! 凱晟くんは虫探しと笑顔で収穫のお手伝い♪
畑で野菜を収穫! 凱晟くんは虫探しと笑顔で収穫のお手伝い♪

Q.不便な点はありますか。

優美子さん:日常で大きく変わったのはごみ捨てです。これまで江戸川区や香港、台湾に住んでいてごみ捨てにお金がかかることがなかったので、指定のごみ袋をそれぞれ買ってごみを捨てるということに最初はちょっと驚きました。あと、分別も細かくあり、24時間いつでもごみ出しができなくなり、回収日を確認して指定時間までに指定場所に出す。これから慣れていきたいと思います。あとは、これまで区役所や幼稚園からの連絡や情報のやり取りにも紙が使われることはほとんどありませんでした。その点において紙でくることが多くなったので、情報処理に追われています。これからDX化(デジタルトランスフォーメーション化)が進んで新しい情報共有のスタイルが快適化したらもっとスムーズに新しい町に馴染みやすくなりそうです。

健強さん:私は外国人なので、日本語で書かれた公的書類を読むことはなかなか大変です。デジタルの文章だとコピーしてそのまま翻訳できるので便利でしたね。今は日本語の勉強も兼ねて、町の広報や幼稚園のプリントなどを読んでいます(笑)。

優美子さん:東京では、必要なものはなんでもすぐに手に入れることができました。いまは小さなことがまだ慣れずにいたり、交通面で不便を感じることもありますが、その都度、自分たちで調べたり考えて行動するので、不便さを楽しむくらいの気持ちでいれば問題ありません。

Q.生活のなかで楽しみにしていることはありますか?

優美子さん:豊かになった「食」を楽しんでいます。この先、健康でいるためにも地域の食材に興味がある私にとって食の鮮度のよさはとてもうれしいですね。東京なら水揚げされた魚がスーパーの店頭に並ぶまで数日かかるところが、朝獲れた魚がスーパーで買える。直売所で新鮮な野菜や果物を買ったりするのも嬉しいですし、「心も体も健康に過ごす」という目標が叶えられそうです。

健強さん:私は生魚があまり得意ではなかったのですが、福岡の新鮮な魚はおいしいですね。これまで知らなかった日本食で、岡垣町にきて特に気に入ったのはごぼう天です。うどん屋さんに入って初めて食べて衝撃を受けました。また、休日は山や海に出かけて自然の中で過ごす楽しさを満喫しています。東京に住んでいた頃は1時間以上かけて海に行って、帰りの渋滞を予測しながら早めに帰って…と自然に触れるのは一大イベントでしたが、それが日常になりました。海に沈む夕日を直接眺めたのも初めてでした。

優美子さん:息子が大きな声でのびのびと遊んでいる様子を見るのもうれしいです。ここでは思う存分に心を開放して、体をいっぱい動かして楽しんで欲しいですね。

図書館や体育館などがある町立の複合施設「岡垣サンリーアイ」は家族でよく足を運ぶお気に入りの場所。
図書館や体育館などがある町立の複合施設「岡垣サンリーアイ」は家族でよく足を運ぶお気に入りの場所。

Q.お子さんの変化はありましたか。

優美子さん:息子にとって東京は生まれ育った場所。仲良しの友達や大好きな先生、大好きな習い事、お気に入りの公園…すべてにさよならをしないといけないので幼いながらにいろいろな思いがあったと思います。引っ越す時の移動中、ずっと「楽しかったよ、バイバイ」と言い続けているのを見た時は心がぎゅっとなりました。移住して4ヶ月、いまはだんだん慣れてきているのを感じます。幼稚園に新しい友達もできるなど、仲良しの輪がゆっくりと広がってきたようです。お気に入りの場所も増えてきました。サンリーアイの図書館、こどもみらい館、自然以外にも好奇心を育てる場所が身近にありますし、車を走らせれば近隣の大きな公園や離島もいけるのでこれからもっと楽しいことを一緒に増やしていきたいです。

健強さん:自然が近くなったので、親子ともに虫にも強くなりました。息子はこの町で見た大きなハエを見て「セミ!」と言っていました(笑)。虫に触れることがなかったのですが、昆虫図鑑を見るようになるなど、新しい分野に興味が芽生えているようです。

優美子さん:これまでは「自然に触れる=お金がかかる」ことだったのが、身近になりましたね。また、岡垣町に来て子どもの皮膚の状態がよくなったのもうれしいことです。水が合っているのだと思います。以前は寝ている間にかゆみでたびたび起きていたのですが、その回数がすごく減りました。

これから息子が生きていく岡垣町がよりよくなるために地域の人たちと力を合わせて暮らしていきたい。

Q.これから福岡でどのように暮らしていきたいですか。

健強さん:日本に移住して約10年。関東を中心に日本を見てきたので、これから始まる福岡での暮らしに期待しています。九州の各地を回るのも楽しみですね。

優美子さん:まだまだ慣れないことや知らないこともたくさんありますが、やっと暮らしのベースが整ったところなので、これから地域の方と交流を深め、いろいろとチャレンジをして人生を豊かにしていきたいです。

「知りたいことがすべて書かれていた」という岡垣町のパンフレットと、夫婦で話し合いながら書き込んだ「福岡移住手帳」。
「知りたいことがすべて書かれていた」という岡垣町のパンフレットと、夫婦で話し合いながら書き込んだ「福岡移住手帳」。

Q.福岡に移住を考えている人にメッセージをお願いします。

優美子さん:福岡県に移住しようと思っているなら「ふくおかよかとこ移住相談センター」でいただける「福岡移住手帳」の活用をおすすめします。移住の目的や譲れないこと、場所の条件などの項目があり、書き込んでいくうちに何のために移住したくて、どんな暮らしがしたいのかが目的やイメージが明確になっていきます。家族で話し合いながら埋めていったので、夫婦間のズレも生じませんでした。

慣れた場所を離れるのは勇気がいること。でも、福岡はその行動に対して返ってくるものがたくさんある場所だと感じています。もし迷っているのなら、人生一度きりなので移住してみるのもいいかもしれません。

※当インタビューは、2022年8月20日に行われたものです。

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