移住者インタビュー

LIFE STYLE 宗像市

このままビルの谷間で子育てをする?夫婦の時間ができた時に改めて考え、理想を叶えられる福岡へ移住。

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ターン

豊田 真さん(38歳)、里美さん(39歳)

Profile
豊田 真さん(38歳)、里美さん(39歳)
Data

夫・真さんは東京、アラブ首長国連邦、茨城、妻・里美さんは東京、仙台、札幌と国内外のさまざまな場所で暮らした経験をもつ。結婚後は東京在住だったが、第3子の妊娠をきっかけに子育て環境について改めて考え、2018年8月に糸島市へ移住。真さんはビジネスコンサルタントとして、里美さんは編集者・ライターとして働いている。

Work

夫:ビジネスコンサルタント
妻:編集者、ライター

今必要なのは、いい環境で子育てをすること。夫婦の意見が合って移住を決意。

Q. 移住のきっかけを教えてください。

真さん:東京や茨城、千葉で暮らし、社会人になってからは、東京の都心に住んでいました。東京での暮らしに疑問を持ち始めたのは東日本大震災の頃です。ちょうど長男が生まれたタイミングということもあり、ライフラインの脆弱性や放射性物質の危険性などに不安があり、このままでいいのかと思っていました。ただ、その頃は私も妻も会社員だったので、現実的に考えて別のところで暮らすのは難しく、移住への思いは心の中でくすぶったままでした。2人目が生まれ、3人目の妊娠が分かった時に「そろそろ本気で考えようか?」という話になりましたね。

里美さん:子どもが生まれるたびに賃貸を住み替えていたんです。二人の通勤に便利な山手線の内側で家を探していたのですが、5人家族で暮らせる家はかなり選択肢が限られ、3LDKを見つけるのでさえ大変です。でも、通勤時間は妥協したくなかったので、居住スペースを我慢するしかなく…家選びには妥協がつきものでした。といっても通勤には40~50分かかっていて、我慢している割には近くないですよね。そして3人の子どもを連れて電車に乗ることや、自転車の前後に乗せたりするのは大変だと感じていました。「ビルの谷間で子どもを育てることを今後も続けるのかな」という思いが心にあって。健康面もそうですし、五感を使わずに生きていって子どもは幸せなのだろうかという思いがずっとありましたね。

真さん:そんな時に、私の両親が子どもを連れて旅行に出かけてくれることになり、夫婦二人の時間ができたのです。日々の忙しさに追われて二人でゆっくり話す時間をもてなかったので貴重な時間でした。それぞれが大事にしたいこと、今やりたいこと、将来やりたいことなどをホワイトボードに書き出してブレインストーミングしたのですが、「いい環境で子育てをしたい」ということが、共通した目下のやりたいことでした。

里美さん:その時に「東京じゃなくちゃダメなんだっけ?」という話にもなりました。それまでは、ずっと東京の会社にいないと仕事もできないのではないかと思っていたのですが、働き方改革の動きもあり、地方でも面白い仕事はできるのではという考えに変わってきていました。

人が優しくて活気がある印象がいい福岡が移住先の候補に。

Q. 移住するにあたって準備したことはありますか?

里美さん:場所を検討する時に、私の妹が暮らす札幌や両親が住んでいる仙台という案もありました。そして、友人が住んでいたり、転勤などで暮らすと帰って来たくなくなるという噂を聞いたりしていた福岡も候補の一つでした。と言っても私は福岡に行ったことが一度もなかったのですが。ただ、福岡出身の友達は総じて福岡が大好き。きっといいところだろうという印象でした。

真さん:私は旅行で2度福岡を訪れたことがあり、活気のある街や人の明るさ、おいしい食べ物など印象がよかったので、心の中では福岡が第一志望でした。東京に比べて経済圏の大きさは違うけれど、肌に触れる雰囲気はきっとよくなると確信していました。ただ、情報は足りていなかったので、2017年8月に東京の有楽町にある「ふくおかよかとこ移住相談センター」に足を運びました。いろいろな話をしたのですが、担当の方の「福岡しかないですよ!」という熱い思いも好印象でしたね。

移住は結婚と似ている!ホットなうちに進めるべき。

Q. 移住前にしたことを教えてください。

真さん:2017年9月、家族で福岡に下見に来ました。11月が妻の出産予定日だったので、行くならこのタイミングしかないと思い出かけました。その時も「ふくおかよかとこ移住相談センター」の方にお世話になったのですが、「こういう暮らしがしたい」という条件を出していたら、おすすめのエリアや教育水準、物件情報までかなり詳しく書かれた長文のメールをいただいて、親切さに感動しましたね。

里美さん:車でぐるぐると福岡市や近郊を回りました。最初は、会社勤めを考えていたので通勤に便利な福岡市内の中心部も候補にしていたんです。東京に比べて空は広いし、人も少ない、でもそれ以外は東京とあまり変わらないかなと思っていました。そこで少し離れた糸島にも行ったのですが、最初はこんな田舎に住むのは無理かもしれないという印象でした。

真さん:「福岡いいね」という話になったのですが、本当に移住できるのかという感じでしたね。その後、すぐに妻が出産したのでしばらく移住の話は保留に。2018年1月に再検討する際、東京の近郊も検討したのですが、やはり福岡が優勢でした。福岡が候補から落ちないという状態で、もう一度確かめるために、私一人で福岡を訪れました。その時も「ふくおかよかとこ移住相談センター」の方にツアーを組んでいただきました。この頃は会社勤めではなく独立を考え始めていたので、都心にいる必要はなく、もうちょっと外でもいいかなとターゲットが変わってきていました。

その時に、糸島市役所の方を紹介していただいたのですが、その方がおっしゃった「糸島なら潮干狩りした15分後に登山ができる」という、フレーズにぐっと心をつかまれました。海と山の距離が近い自然豊かな糸島を表現した言葉なのですが、東京では考えられないですよね。ほかにも家賃の安さや学力水準向上への取り組み、空港へのアクセスのよさなどいろいろな点を挙げられて、「よし、そんなにいいなら糸島にしよう」と心が決まりました。

里美さん:私はその頃、福岡市の姪浜~今宿あたりの交通アクセスが便利な場所がいいかなと思っていました。でも夫が「糸島がいい!」と熱弁するので「そんなにいいなら糸島にしよう」という気持ちになりました。正直に言うと東京を出てみたくてしょうがなかったんです。魅力的な居住地があるのに、ここにどうしているのかということばかりを考えていました。そして、夫は意外と慎重派なところもあるので、また新たなリスクを洗い出して「やっぱり糸島じゃない」と言い出さないように、早めに決断しました。

真さん:そうだったんだ(笑)。移住って結婚と似ていますよね。ホットなうちに進めないと。だって嫌なところを洗い出していたらきりがないじゃないですか。成功した人も失敗した人もいるので、やってみないとわからない。やってみるまでその成功か失敗かの判断はできないですが、実行することの決断はできます。それをするかどうかですね。

Q. 住む場所はどうやって探しましたか。

真さん:もともと家は買いたいと思っており、新築の建売りを購入しました。もう一つ中古の一軒家も見たのですが、開発エリアであるこの地域の発展性や駅に近い立地などを考えてここに決めました。

里美さん:私は、最初は賃貸がいいと思っていましたが、いずれ買うとなった時に、子どもの学校が変わることを考えたりするのがまた大変。東京での経験から引っ越し疲れしていたので、やっぱり家を持つのがいいなと思いました。ここは大きい公園もあって、街の雰囲気もよさそうで、同年代の子どもも多いところが気に入りました。

Q. ご家族の反応はどうでしたか?

真さん:私の両親は千葉に住んでいるのですが、海外で暮らした経験もあるため「国内なの?」という反応でした。特に土地に対して危惧する様子はなかったですが、私の仕事のやりがいが保てるのかという点では心配をしていました。

里美さん:仙台にいる私の父はちょっとさみしがっていましたね。「遠くなっちゃうね」って。でも母は「そんなことないわよ、遊びに行けばいいじゃない」という感じの反応でした。母は特に、東京での家賃をもったいないとずっと言っていたので、福岡で家をもって暮らすことに安心していたようです。

夫婦とも移住と同時に独立。福岡での仕事の幅も広がっています。

Q. 現在の仕事について教えてください。

真さん:私はこれまでの経歴を生かし、コンサルティング会社を立ち上げビジネスコンサルタントとして働いています。やはり仕事面が一番の不安要素だったのですが、以前勤めていた会社から仕事をもらったり、福岡で新しく開拓したりして、収入は満足のいく水準を維持できています。居住費が下がったので全体的にいい感じです。

里美さん:私は編集者として長年勤めていたのですが、現在は独立して編集者・ライターとして働いています。収入面は東京にいた頃と比べると下がりましたが、その分働く時間も減りました。以前はほぼフルタイム勤務だったのですが、今働く時間は9:30~15:30くらいですね。夫も家で仕事をしている時には、二人でランチを食べに行ったりして自由です。移住した当初は、ツテもなかったのですが、ちょうど糸島市が「ママライター講座」を開くことを知り、応募しました。新聞社の方やカメラマンなどを講師に招いて行われるような講座で、人との繋がりも生まれ、それをきっかけに仕事をいただくこともあります。福岡の人は、世話好きな方が多く、紹介していただくこともよくあります。

真さん:私もそれは感じますね。私は中小企業診断士のツテや、出身大学の同窓会などで紹介してもらうことも多いです。そのおかげで福岡のクライアントも増えています。今はコンサルティングの仕事が中心ですが将来的には、移住者支援系の仕事も始めたいと思っています。今回、移住に関する情報はまだ少ないということを身をもって実感しました。私たちはたまたまふくおかよかとこ移住相談センターに巡り合えたので福岡の情報は手に入りましたが、ほかの地域との比較は自分で調べる必要がありました。その経験を活かし、事業にできるのではないかと考えています。

Q. 移住後、お子さんの反応はいかがでしたか。

真さん:長男は小学校2年生の時の引っ越しだったのですが、小学校で友達がたくさんできてきた頃で移住を嫌がっていましたね。移住当初はあんまり楽しそうではありませんでした。時々、話を聞いていたのですが、半年くらいは東京がいいと言っていました。本当に楽しそうになったのは3年生になった頃でしょうか。今はもうすっかり東京のことも話題に上らなくなりました。長女はお迎え時間が遅い保育園から、幼稚園に替わるとわかってよろこんでいました。今では自然に囲まれた環境を満喫しています。

里美さん:長男は友達と気軽に遊べるところが気に入っているようです。東京だと遊ぶ場所もなかなかないし、親同士が連絡を取って、「じゃあ2週間後に」というような状況だったのですが、こちらに来ると放課後に自分で好きなように遊べるので。自主的に動けるというのが楽しそうですね。末っ子は小さい時に引っ越してきたので、もうすっかりこちらの子という感じです。庭の野菜もガブッと食べていますよ。この間電車に乗ったら「怖い」と言っていて、都会育ちの上の2人との違いがおもしろいですね。

真さん:それと、家族で遊びに行く回数が増えたのもいい点だと思います。東京だとおでかけは一大イベント、そして大いに疲れて帰ってくるので「狭くても家が一番」という気持ちになりがちです。でも今は「温泉でも行く?」となったら30分後にはお湯につかっているという恵まれた環境。おかげで長男は温泉が大好きになりました。

里美さん:二人とも会社勤めだったので、平日はがっちり働いて、土日は子どもの習い事というようにタイムスケジュールが決まっていました。今はライフスタイルが変わって余裕ができましたね。

「キャンプも気軽に行けるようになりました」と真さん。
透明度の高さで知られる糸島の海。夏は家族で海水浴を楽しみます。

Q. 生活面で不便を感じる点はありますか?

真さん:私としてはほとんどありません。強いて言えば…通販の荷物が届くのが少し遅くなったかなというくらいです。交通については、東京では持っていなかった車があるので便利です。東京ではカーシェアなども試しましたが、都心から出るのも渋滞で大変でした。あとは、不便というか、電車などの交通費が高いのは驚きました。

庭の菜園で野菜を栽培。「子どもも楽しんでいるようです」と里美さん。
住宅街のそばには広々とした公園が。家を決めた決め手のひとつにもなったのだそう。

時間に縛られる暮らしから、ゆとりのあるライフスタイルへ。

Q. 移住してよかった点を教えてください。

真さん:すごくたくさんあるのですが、第一に、どこでも広々としているのが心地いいですね。家も道も余裕があって。例えばコンビニ一つをとっても、通路の広さが違います。東京だったらすれ違うのも一苦労でした。また、東京はどこに行っても本当に人が多いところが大変です。夫婦二人の時はまだよかったのですが、子どもたちを連れてイベントに行くと、とても疲れたのを覚えています。糸島に移住してからは、クラフトフェスや収穫祭、市民祭りなど地域のイベントにも参加しています。

里美さん:小さい子どもを連れて行けるお店が多いのもうれしいですね。東京は子連れ対応していないお店が多くて。家族で外食する機会も増えました。そして、食べ物が本当においしいですね。野菜も安くてびっくり。よく産直市場に行くのですが、旬を感じられますし、価格も東京の半額か1/3くらいではないでしょうか。以前は果物も高くてなかなか手が出なかったのですが、今はよく食卓にのぼります。小学校や幼稚園でも野菜を育てたりしているようで、子どもたちも食に興味がわいているようです。長男は「給食の量が多くて、おいしい」とよろこんでいます。車移動が楽なので、夫がいない時も子ども3人を連れて出かけられるのもいいところ。東京にいる頃はペーパードライバーだったのですが、糸島の道は走りやすいので慣れました。

Q. 移住してどんなことが変わりましたか。

里美さん:仕事を変えたということも大きいかもしれませんが、ライフスタイルが変わって時間にゆとりができました。以前は、夫婦で夜にお酒を飲むことが楽しみだったのですが、それ以外の楽しみが増えたのであまり飲まなくなりましたね。

真さん:プライベートでの移動が増えて楽しいです。それまでは職場と家の往復だったので。今は海や山、温泉などに出かけることで、日常とは違った体験ができるのが楽しいですね。

Q. 福岡の魅力を教えてください。

里美さん:人がいいという話はずっと聞いていましたが、こちらで暮らして1年以上が経ち、地域の方々と触れ合うことでそれを実感しています。県民性なのか、日本の南に暮らす人特有なのか、のんびりしていてオープン、そして親切な方が多いと思います。また、福岡が好きな人が多いところも好きです。自分が暮らしている場所に愛着をもてるっていいことですよね。また、九州のあちこちに行きやすい点も気に入っています。熊本、大分、長崎、山口などさまざまな場所に出かけています。いろんな九州を見てみたいです。

真さん:やはり食べ物のおいしさは格別ですね。移住してから、興味がなかった牡蠣が好きになりました。よく覚えているのが、引っ越して間もない時、近くのスーパーに行ってパックの刺身を買ったんです。あまり期待せずに食べたのですが、そのおいしさにびっくり。東京だったらお店で出てくるレベルですよ。そして、やはり私も人のよさを挙げたいですね。糸島には「いと会」という移住者の交流会があり、温かく迎え入れてくれてとてもありがたいです。移住者を受け入れる体制が整っているということも感じます。

思いきって飛び込んでみては?福岡はそれを受け入れてくれる場所。

Q. 福岡県に移住を考えている人にメッセージをお願いします。

真さん:移住を考えているなら、とりあえずやってみて、ダメだったら戻ればいいというのが私の持論です。自分がどんな人生を送りたいかわかったら、それに合う場所を選べばいいのではないでしょうか。ここにいないといけないというルールはありません。選ばない人生よりも、失敗しても考えて選んだ人生のほうがきっといいと思います。移住ってどこかでドカッと決めないと動かない。慎重になるのもいいけれど、飛び込んでみてもいいのではないでしょうか。福岡はそれを受け入れてくれる場所だと思います。

※当インタビューは、2019年10月29日に行われたものです。

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