移住者インタビュー

LIFE STYLE 大木町

農業に携わりたいと思い、福岡へ。試行錯誤しながらも仲間と汗を流す毎日に満足しています。

移住者DATA

Uターン

Profile
黒沼清寿さん(35歳)
Data
福岡市出身。幼少期を関西で過ごし、その後、小学校~高校の期間は福岡市で暮らす。大学進学を機に上京し、6年間、学習塾の運営に従事。農業で独立するという志をもち、2013年に福岡県農業大学校に入学。農地探しに苦労しながらも、2014年より縁があった大木町で農業に携わる。
Work
農業

このまま東京で一生働くか?自問した答えはノーでした。

黒沼清寿さん

Q. 移住のきっかけを教えてください。

大学卒業後、学習塾で6年間運営に携わっていました。仕事自体のやりがいはあり、充実していたのですが、そのうち雇用される立場での働き方に疑問をもつようになり、将来は経営者になりたいという思いを抱えていました。ある時、学習塾の生徒たちに投げかけた「今やらないでいつやるんだ」という言葉が自分に跳ね返って来て…。人生は一度きり。行動は早い方がいいと思い立ち、動き始めました。自分が経営者になるとしたら何ができるだろう、と考えた時、農業系の大学を卒業していることもあり、農業なら壁が低いのではないかと思い…。今は大変さがわかりますが、当時はですね(笑)、そう思ったんです。しかし、大学では座学が中心で、実践の知識・技術がないため、学びなおすことを決意しました。当時も現在も実家は東京にあるのですが、いずれは福岡で暮らしたいと思っていたので、筑紫野市にある福岡県農業大学校を選びました。事後報告でしたが、両親も応援してくれましたね。

移住+新規就農のハードルは、思ったよりも高く…。大木町で就農できたのは幸運でした。

Q. 移住に際して、不安なことはありましたか。

福岡に移り住んだころは、不安な気持ちはなかったですね。「新しい門出だ!」とワクワクしていました。不安になったのは、農業大学校で学ぶうちに、「卒業したからといって必ず就農できるとは限らない」ということに気づいた時です。入学前に新聞やインターネットで耕作放棄地が増えているという記事を読んでいたので、それを借りればいいじゃないかと思っていたんです。でも、そんな簡単にはいかなかったですね。

町の農家が引き継ぎ者を探していたアスパラ畑を借りています。
町の農家が引き継ぎ者を探していたアスパラ畑を借りています。

Q. どんなことに苦労されましたか。

やはり、農地を見つけるまでが大変でした。「使っていないなら借りられるのでは?」と思っていましたが、そう簡単な話じゃなかったですね。使っていない農地でも知らない人に貸すのは抵抗があるのだと思います。先祖代々守ってきた土地ですから、どんな人なのか、きちんと管理してくれるかなど、心配される方が多いんです。今ならその気持ちがよくわかります。といっても、じっとしている訳にはいきませんでした。在学中に福岡県各地にある農業普及指導センターをまわって農地を探しました。県内のどこかで見つかるだろうと思って探していましたがどこも難しく、落胆していた時、偶然に大木町のアスパラ農家が、引き継ぎ者を探しているという話を聞いたんです。そこで、大木町や就農について調べて、卒業後に研修として入り、約9カ月後から経営を引き継ぎました。今考えると、とても運がよかったと思います。お膳立てしてくれるわけではないですが、自分が積極的に動けばサポートしてくださる方はいる。そのことも身にしみて感じました。

Q. 利用した制度はありますか。

農業に関するものなのですが、「青年就農給付金」という国の制度を利用しています。新規就農者に対し、経営が不安定な5年以内の所得を補助してくれる給付金制度です。私は農業大学校時代の仲間を4人雇用して農業を行っているのですが、彼らに給与を支払うためにも、この制度にはとても助けられています。といっても申請すれば誰でももらえる訳ではありません。大木町役場で担当の方に相談すると親切丁寧に指導してくださり、きっちり5年間の計画を立てることができたおかげで申請が通りました。あとは、政策金融公庫から融資も受けました。

農業ができることが幸せ!表情が柔らかくなったと言われます。

Q. どんな時に移住してよかったと思いますか。

働く喜びを毎日感じられることですね。農業ができるということ自体がやりがいになっています。以前勤めていた学習塾では、お昼頃に出勤して、夜中に帰宅という生活でした。朝日を浴びることなんてほとんどありませんでした。でも今は日の出とともに働き始め、大自然の中、汗をかきながら仕事をしています。アスパラって1日で驚くほど成長するんですよ。それを朝夕収穫しているのですが、それだけで幸せです。そのおかげか、家族に久しぶりに会ったら、「顔つきが変わった」と言われて。確かに以前の写真を見ると、なんだか疲れきった顔をしているんです(笑)。自分で言うのもなんですが、楽しく充実しているのが表情にも出ているんでしょうね。

成長が早いアスパラは1日2回収穫を行います。
成長が早いアスパラは1日2回収穫を行います。
朝の収穫の後は、出荷作業が待っています。
朝の収穫の後は、出荷作業が待っています。

大木町の手厚いサポートに感謝。農業をきっかけに移住する方も多いですよ。

Q. 大木町のいいところを教えてください。

帰ってきて、改めて福岡県の魅力に気付きました。大木町は高い建物がないので、空が広いんです。町のパンフレットで一面に広がる農地と青い空の写真を見て、ここに住みたい、こういうところで働きたいと思いました。農業をしたいと言ってやってきた縁もゆかりもない私にも研修先の紹介から就農のサポートまでしてくださって、とてもありがたいと思っています。大木町はイチゴとアスパラの生産が盛んなのですが、ほかにも家族で県外から移住して農業をしている方もいらっしゃいますよ。周りの農家の方々もアドバイスをくれたり、見守ってくれます。私も研修先の農家さんに今もお世話になることが多いです。普段の暮らしは、車があれば不便はないですね。西鉄天神大牟田線が走り、町内に「八丁牟田」「大溝」の2つの駅があるので、福岡市や久留米市に通勤している方も多いそうですよ。

就農や手続きに関してお世話になった町職員さんと。
就農や手続きに関してお世話になった町職員さんと。
遮るものがないのどかな風景。黒沼さんもこの風景に心魅かれたそうです。
遮るものがないのどかな風景。黒沼さんもこの風景に心魅かれたそうです。

Q. これから大木町でやってみたいことはありますか。

アスパラ畑の経営に加え、2017年1月に新規オープンするイチゴ観光農園の運営に携わることになりました。ちょうどアスパラの休閑期に忙しくなるので、休めなくなりますが(笑)、楽しいので大丈夫です。今はオープンに向けて苗の管理などを行っています。まずはその観光農園を成功させたいですね。そしてゆくゆくは農業を法人化したいと考えています。農地を増やして、出荷用の他にも、いろいろな種類の野菜を作り、野菜を使ったレストランを開くのもいいですね。大木町は飲食店が少ないので、一人暮らしの人でも一日分の野菜が摂れるくらいの料理を出すお店が理想です。

イチゴ観光農園のために、農業大学校でイチゴ栽培を学んだ仲間を雇用。
イチゴ観光農園のために、農業大学校でイチゴ栽培を学んだ仲間を雇用。
観光農園は、ブッフェ料理が人気の「道の駅 おおき」に隣接しています。
観光農園は、ブッフェ料理が人気の「道の駅 おおき」に隣接しています。

やらない後悔より、やった後悔。でもチャレンジするならよく考えて。

黒沼清寿さん

Q. 移住を考えている方にメッセージをお願いします。

移住したいと思ったら、実行した方がいいと思います。やらない後悔よりやった後悔。家族がいるとか、仕事のことなど、その人の置かれた立場にもよりますが、責任をもてる範囲で行動してみるのもいいのではないでしょうか。でも、自分の人生なので、思いつきではなく、よく考えてください。世の中に成功体験の話はたくさんありますが、それはそういう人を選んでいるからですよね。失敗することもあるかもしれないという覚悟をもちながらも、チャレンジすることは大切だと思います。

※当インタビューは、2016年8月30日に行われたものです。

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